Research Abstract |
今年度は,歯髄細胞から象牙質塊を作製するために適した担体を探索した。使用した担体は,孔径の異なる2種類のポリグリコール酸のブロックとそれらのブロックにハイドロキシアパタイトを添加した4種類の担体を用意した。移植に用いた細胞は,矯正治療にて抜歯となった歯から無菌的に歯髄組織を採取し,培養増殖させた。これらの歯髄細胞は,FACSにおいて,CD10,CD44,CD73,CD90が陽性であることを確認した。次に,これらの歯髄幹細胞を4種類の担体に播種して,スキッドマウスの背部皮下に移植した。移植後16週にて,マウスから試料を取り出し,その直後に,マイクロCT撮影を行ったところ,ハイドロキシアパタイトを添加した担体にのみ硬組織の形成を確認した。そこで,現在,マイクロCT画像から,硬組織形成率を検討している。一方で,移植した細胞が,移植後の硬組織形成に関与していることを確認するために,ヒトミトコンドリア抗体を用いて免疫組織化学的解析を行った。担体に再生した組織中の細胞の約30-50%の割合でミトコンドリア抗体陽性の細胞が確認できた。また,免疫組織化学的に硬組織形成を確認するためにオステオカルシン抗体を用いて観察したところ,担体に再生した組織中にオステオカルシン陽性の細胞が観察できた。これらの今年度の結果から,移植した歯髄幹細胞が移植後16週後に担体中に維持されていること,硬組織形成には,担体の材料としてハイドロキシアパタイトが必須であることが確認できた。現在,再生した組織が象牙質であることを,形態学的に検討している。
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