Research Abstract |
23年度は歯周組織を再生させるための実験モデルを構築し,細胞移植することで歯根膜組織用の構造物を確認することができた。 歯周組織を再生させるための実験モデルとして,この研究ではブタ組織の歯胚細胞を用いているために,ブタの歯槽陥凹(2)細胞を移植することが理想的ではあるが,移植実験用にミニブタを用いることは,施設を借りることになり,実験の遂行が不可能になることから,購入可能なブタ顎から骨をトリミングすることで疑似歯槽陥凹を作製し,細胞を移植しても,移植した細胞が長期間生存することを確認した。 次に,鐘状期後期のブタ歯胚組織から,歯胚上皮組織,歯髄組織および歯小嚢組織を採取し,上皮組織と歯髄組織からは,酵素処理にて細胞を単離し,保存した。歯小嚢組織中の細胞は,歯髄組織と比較して,極度に少ないことから,歯小嚢細胞は培養を用いることで,移植に必要な細胞数を獲得した。 上皮細胞,歯髄細胞,培養歯小嚢細胞を準備後,エッペンドルフ内にて,疑似歯胚の再構築を行った。初めに,培養歯小嚢細胞をエッペンドルフの底部に播種後,歯髄細胞,そして上皮細胞を株の細胞を覆うように播種し,上皮細胞を覆うように,培養歯小嚢細胞を播種することで,疑似歯胚の作製に成功した。 このエッペンドルフ内の疑似歯胚をトリミングした顎骨内に,壊れないように移動させて,コラーゲンゲルを覆うことで骨から疑似歯胚が落下しないように工夫した。この疑似歯胚付き骨をヌードラットの大網内に移植することで,象牙質周囲にセメント質用構造を持つ歯根葉組織の再生に成功し,再構築されたセメント質とトリミングされた骨との間には,結合組織が観察され,主線維用の構造物が観察された。しかし,この主線維がシャーピー線維としてセメント質および骨に埋入されていることまでは明らかにできなかった.
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