2011 Fiscal Year Annual Research Report
Lin7C-CASK-βcateninネットワーク制御による癌転移・浸潤抑制法
Project/Area Number |
21390531
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 洋右 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50451745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹沢 秀樹 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50236775)
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Keywords | 浸潤転移能 / Lin7C-CASK-βcateninネットワーク / HTR2C遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、Lin7C-CASK-βcateninネットワークを制御して細胞接着因子βcateninを発現増強させ、臨床的に応用可能な固形癌の転移と浸潤の抑制法を開発することを目的とする。 まず、口腔扁平上皮癌細胞株にヒトLin7Cの全長cDNAを搭載した発現ベクター(pME18SFL3)を導入し、Lin7C遺伝子を強制発現させて、CASK遺伝子とβcatenin遺伝子の発現量:をLightCycler FastStart DNA Master SYBR Green kit(Roche)を使用し、Real-timePCR法により測定した。その結果、Lin7Cとネットワークを形成する各遺伝子は、Lin7C導入細胞においてLin7C遺伝子発現と連動したmRNA発現動態を示すことを確認した。この結果はWesten blotting法によりタンパクレベルでも確認した。次に、Lin7C、CASK、βcateninのどの遺伝子にも直接的に発現増強作用を有する薬物を同定することができなかったので、マイクロアレイ検索、パスウェイ解析、RT-PCR法により本ネットワークの上流に位置する遺伝子を検索し、4種類の候補遺伝子を同定した。さらに、これらの遺伝子のうち、発現制御薬剤を有する遺伝子としてHTR2C(5HT2C)にフォーカスを絞った。本遺伝子に作用する薬物は、Apomorphine(パーキンソン病治療)、Caffeine、Risperidone(中枢神経系調節)、Quetiapine(セロトニン5HT2受容体拮抗薬)、Buspirone(抗不安薬)、Mirtazapine(抗うつ薬)などが挙げられる。これらの薬剤に関して、口腔癌由来細胞株におけるLin7C遺伝子、CASK遺伝子、βcatenin遺伝子(CTNNB1)に対する発現誘導能力をReal-timePCR法、Westem blotting法で確認した。さらに、候補薬剤添加培養下にin vitroでWound Healing Test、 Invasion assayを行い、浸潤能に関する抑制作用を評価したところ、Mirtazapineが最も浸潤転移能が高い薬剤であった。
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