2011 Fiscal Year Annual Research Report
摂食促進ペプチド活性が脳幹内咀嚼リズム形成機序に及ぼす影響
Project/Area Number |
21390535
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古郷 幹彦 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20205371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 晋 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 招聘教員 (00367541)
榎本 明史 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 招聘教員 (70432549)
辻 忠孝 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50527231)
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Keywords | 摂食行動 / 顎運動 / 脳幹 / オレキシン |
Research Abstract |
最近の研究より摂食量を同じにしても摂食時間が短い、つまり「早食い」の方が肥満の傾向が高いことが報告された。摂食量のみならず、食行動パターンそのものの変化がエネルギー代謝に影響を与えうることを示唆するものである。近年同定されたオレキシンは、味覚情報に伴うβ-エンドルフィンの分泌や報酬系の活性とともに、視床下部外側野と周辺のニューロンに特異的に発現して、摂食亢進に寄与していることが明らかとなってきた。 我々は、前年度までに、オレキシンAをラット脳室内投与した際の摂食行動特性や咀嚼筋筋活動特性の変化を明らかとし、三叉神経運動ニューロンにおけるオレキシンの神経修飾作用について電気生理学的検討を行ってきた。今年度には、オレキシンAおよびBの濃度依存性と摂食行動パターンの関連性について検討を行い、咀嚼筋筋活動における詳細なバーストの解析を行い、成果報告を行った(Tsuji T.et.al.Journal of Neurophysiology, 2011)。また、オレキシン以外の摂食促進ペプチドであるニューロペプチドY(Neuropeptide Y ; NPY)は視床下部弓状核に特異的に発現しており、オレキシンとともに摂食活動の誘起に関与していることが知られている。また、NPY含有神経細胞はオレキシン神経細胞と相互に神経ネットワークを形成していると報告されている。本研究では、NPYを異なる濃度条件で脳室内投与した際に、濃度上昇にともない摂食量は増大するものの、摂食率は逆に低下することを明らかとし、高濃度投与条件下では摂食中に頻回に多動行動が観察された。つまり、NPYの脳室内投与はオレキシンの脳室内投与時と同様に摂食量を増大させるのみならず、一定量の飼料の摂取における行動特性を変化させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、計画していた摂食促進ペプチドであるオレキシンだけでなく、オレキシンと関連性の高いニューロペプチドYの咀嚼筋活動特性を含む摂食行動特性の変化についても検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、脳内でオレキシン以外の摂食促進ペプチドであるニューロペプチドYの脳内活性レベルが変化した際の摂食運動パターンの変化あるいは咀嚼筋筋活動特性の変化について詳細な検討を行う。また、脳幹レベルでの咀嚼リズム形成機序に関わる個々のニューロン特性への影響について検討する。
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Research Products
(4 results)