2011 Fiscal Year Annual Research Report
間質細胞が産生するがん浸潤・転移を制御する分子群の探索とその診断・治療への応用
Project/Area Number |
21390538
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
林堂 安貴 広島大学, 病院, 講師 (70243251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 哲治 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
新谷 智章 広島大学, 病院, 助教 (90403518)
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Keywords | 口腔癌 / 浸潤・転移 / 間質細胞 / 細胞遊走 / 蛋白分解活性 / 細胞接着因子 |
Research Abstract |
がんの浸潤・転移は,がん細胞自身の特性によってのみ制御されているのではなく,周囲の間質成分をはじめとする宿主との相互作用によっても影響されていると考えられている. 本研究では,生体での口腔癌の浸潤転移機構を明らかにするため,口腔扁平上皮癌細胞の浸潤増殖に与える間質の線維芽細胞の影響について解析を行い,線維芽細胞が扁平上皮癌細胞の増殖能とともに細胞遊走能を強く亢進させることを見いだした.さらに線維芽細胞が,扁平上皮癌細胞に膜型マトリックスメタロプロテアーゼ(MT1-MMP)発現を亢進させマトリックスメタロプロテアーゼ2,(MMP-2)活性化能を誘導することや,細胞膜上のαvインテグリンを介して活性化されたMMP-2が癌細胞に結合し,癌周囲の基底膜成分を分解している所見を見いだした. さらに,線維芽細胞は,培養上清中に細胞外基質蛋白の一種であるトロンボスポンジを産生し,扁平上皮癌細胞の運動能とマトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP-9)産生を亢進させていることを明らかにした。また,線維芽細胞が産生するI型コラーゲンは,扁平上皮癌細胞のインテグリンαVβ8を介して,増殖と運動能を促進させていることがわかった.このインテグリンαVβ8を介して誘導される癌細胞の増殖促進はMAPKシグナル伝達系のMEKが,癌細胞の運動促進はRhoファミリーG蛋白Rac1が関与していることが明らかとなった.したがって,インテグリンαVβ8を標的とした口腔扁平上皮癌の分子標的治療が,口腔扁平上皮癌の有用な治療法のひとつとなり得る可能性が示唆された.
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Research Products
(4 results)