2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における癌幹細胞およびニッチ機構の同定とそれを標的とした診断・治療法の開発
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21390539
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 哲治 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
虎谷 茂昭 広島大学, 病院, 講師 (90172220)
林堂 安貴 広島大学, 病院, 講師 (70243251)
新谷 智章 広島大学, 病院, 助教 (90403518)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌細胞 / 癌幹細胞 / 無血清培養 / CD133陽性細胞 / sphere形成能 / 低酸素環境 / 抗癌剤 / 細胞増殖因子 |
Research Abstract |
<目的>近年、脳腫瘍や大腸癌において、CD133陽性細胞群は癌幹細胞の有力候補と考えられている。本研究において我々は、ヒト口腔扁平上皮癌(OSCC)の癌幹細胞を標的とした新しい診断・治療法を開発することを目指して、OSCC細胞株由来CD133陽性細胞(CD133+)の細胞・分子生物学的特性について検討を行った。 <方法>当科で樹立したOSCC株KO、NAおよびUE細胞をCD133抗体にて標識し、マグネティックビーズ付き抗体で処理後、autoMACS(miltenyi)を用いてCD133+を分離した。CDI33+とCDI33-の単層培養系での増殖能および浮遊培養系でのsphere形成能を、我々が開発した無血清培地を用いて検討した。また、各細胞株にGFP遺伝子を導入し、sphere形成細胞群におけるCD133+およびCD133-の局在とその経時的変化を比較検討した。次に様々な増殖因子とその阻害剤、抗癌剤(doxorubicin : DXRおよび低酸素培養(1%酸素下)の、各親細胞株に対するsphere形成能およびCD133発現に及ぼす影響を、無血清浮遊培養法およびフローサイトメトリー(FACS)にてそれぞれ比較検討した。 <結果および考察>各細胞株において、CD133+の全細胞における細胞数の比率は約0.5%を示した。無血清単層培養系では、CD133+の増殖能はCD133-と比較し低下していた。一方、無血清浮遊培養系では、各親細胞株および各CD133+はsphereを形成したが、CD133-は形成できなかった。しかし培養開始時に、CD133-にCD133+を加えることでsphere形成能を獲得し、その大きさや数は、CDI33+の割合が0.5%でほぼプラトーに達した。GFP発現細胞を用いて検討した結果、sphere形成細胞の大部分はCD133-由来であり、CD133+が、sphere形成過程でCD133-に変化した細胞や、CD133-がCD133+に変化した細胞が認められた。また、各sphere内には最低1個のCD133+が存在していた。さらにCD133-およびCD133+のsphere形成能に及ぼす種々の細胞増殖因子および増殖因子シグナル阻害剤、DXRおよび低酸素環境の影響を検討した。その結果、CD133陽性OSCC細胞群は癌幹細胞として機能していることが示唆された。
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