2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における癌幹細胞およびニッチ機構の同定とそれを標的とした診断・治療法の開発
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21390539
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 哲治 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林堂 安貴 広島大学, 病院, 講師 (70243251)
虎谷 茂昭 広島大学, 病院, 講師 (90172220)
新谷 智章 広島大学, 病院, 助教 (90403518)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌細胞 / side population / hoechst33342 / 無血清培養 / sphere形成 / HIF-1遺伝子 / 薬剤耐性遺伝子 / 低酸素培養 |
Research Abstract |
[研究の目的]本年度は、ヒト口腔扁平上皮癌(OSCC)より分離したside population(SP)細胞群の細胞・分子生物学的特性の解析を、RD6F培地を用いた無血清培養系で行った。OSCC細胞株として当科で樹立したKO、NA、UEを用いた。SP細胞は、細胞をDNA結合色素hoechst33342にて処理後FACSにて解析後、非染色性細胞群をSP細胞群、染色性細胞群をmain population(MP)としてセルソーティングで分離した。SP細胞とMP細胞の単層培養系における増殖能と浮遊培養系におけるsphere形成能、免疫不全マウス背部皮下での腫瘍形成能の比較検討を行った。さらにSP細胞を低酸素下(1%)で培養することで、SP細胞群の濃縮を行った。次にHif-1α遺伝子導入の、SP細胞群に及ぼす影響について検討した。 [方法]SPとMPにおける遺伝子発現の差異をDNAマイクロアレイ法にて検討した。次いで、マイクロアレイにて5倍以上の発現差を認めた遺伝子についてpathway解析を行いpathwayの中枢を担う候補因子のSP、MP、CD133細胞の無血清単層および浮遊培養系での増殖能に及ぼす影響について検討を行った。 [結果]SP細胞群の全細胞に占める割合は0.6~1.5%であった。無血清単層培養系では、SPとMP間で増殖能に差は認めなかったが、無血清浮遊培養系においてはMPに比べてSPは高いsphere形成を示した。免疫不全マウス移植実験にて、SPは、5.0×10^4、1.0×10^5の細胞数で腫瘍を形成したが、MPは、いずれの細胞数でも腫瘍は形成しなかりた。SPを継代時にFACS解析を行い再度SP群のソーティングを繰り返す事で、全細胞の50%程度までSPを濃縮する事が出来た。HIF-1α遺伝子の導入によりSPの増加を認めた。HIF-1αの発現量に比例して薬剤耐性遺伝子群の発現上昇を認めた。SPはMPに比較し単層培養系およびsphere形成アッセイ約5倍のDXR耐性を示した。マイクロアレイの結果、SPにおいては血管新生関連遺伝子群、骨増殖遺伝子群、ケモカイン遺伝子群等が、MPの5倍以上高発現していた。中枢因子の候補と考えられたケモカインの親株への添加にて無血清単層培養系および浮遊培養系で細胞増殖能、sphere形成能の上昇を認めた。 [考察]OSCC由来SP細胞はMP細胞と比較して、高いsphere形成能、造腫瘍形成能、低酸素耐性能および抗がん剤耐性能を示したことから、OSCCの癌幹細胞として機能している事が強く考えられた.
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