2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390556
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西村 英紀 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80208222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 知一郎 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70242063)
安孫子 宜光 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050086)
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Keywords | 脂肪組織 / マクロファージ / 微細慢性炎症 / サイトカイン / 敗血症 / 動脈硬化 / 脂肪細胞-マクロファージ相互作用 |
Research Abstract |
先行研究において、マウス3T3-L1脂肪細胞とマウスRAWマクロファージの共培養系を、LPS刺激した際に脂肪細胞で誘導される遺伝子をLPS無刺激の細胞における遺伝子発現プロフィールと比較した。その結果、注目すべき既知の遺伝子として、血管新生、細胞死、炎症性細胞浸潤、敗血症誘発、血液凝固促進、個体老化に関与するとされる遺伝子発現量が著明に変動することが確認された。そこで、これら遺伝子の機能解析を試みることを計画した。 特に本年度はこれらのうち、炎症性細胞浸潤、敗血症誘導に関与する分子群ならびに、動脈硬化促進作用があるとされる分子群の動態について詳細な検討を加えた。これらのいずれの分子も脂肪細胞とマクロファージの共培養系をLPS刺激することで産生量が蛋白レベルで時間依存性に増加することを確認した。そこでこの現象が生体内でも観察されるか否かを検証するため、動物モデルを用いた検討を行った。遺伝性の肥満モデルマウス、あるいは環境要因によって肥満にしたモデルマウスのいずれにおいても、LPS投与によってこれらの分子群の血中濃度が一過性に上昇することを確認した。以上から、LPS刺激によって活性化され脂肪組織に浸潤したマクロファージと脂肪細胞の相互作用によって、(1)マクロファージのさらなる集積を促進する炎症性サイトカインが産生され炎症反応がいっそう促進すること、(2)この状況下でグラム陰性菌が感染することで敗血症が惹起される可能性が高まること、(3)慢性的に脂肪細胞とマクロファージがクロストークすることで動脈硬化の進行がさらに促進されること、を明らかにした。
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