2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390556
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西村 英紀 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80208222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 知一郎 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70242063)
安孫子 宜光 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050086)
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Keywords | 歯周医学 / 門脈系 / 軽微な慢性炎症 / インスリン抵抗性 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
既報の皮下脂肪組織のみでなく内臓脂肪組織にもマクロファージ浸潤が見られることを免疫組織学的手法により明らかにした。脂肪細胞とマクロファージの相互作用により、マクロファージやTリンパ球の遊走を促進するケモカインであるRANTES、炎症マーカーとして知られる血清アミロイドA(SAA)、ならびにlipopolysaccharide(LPS)シグナルに重要な役割を果たすことが知られているLPS結合タンパク(LBP)の遺伝子発現が上昇するとともに、その蛋白産生量も亢進することを明らかにした。さらにこの現象が実際に生体内で惹起されるか否かを確認するため遺伝性肥満、ならびに食餌誘導性肥満モデルのマウスを用いた検討を行った。その結果、低濃度のLPS刺激1日後に、これらRANTES、SAA、LBPの血中濃度が対照の非肥満マウスと比べて一過性に有意に上昇することを確認した。その結果、RANTESは申請者らが以前報告したMCP-1と協調して脂肪組織へのさらなるマクロファージ浸潤を促進すること、LBPはグラム陰性菌による感染症である歯周病による門脈系での炎症の維持・慢性化に重要な役割を果たす可能性を示した。一方、SAAは急性炎症マーカーとして知られるが血管内皮において一酸化窒素合成を抑制し血管の弾性を低下させたり、脂肪分解を起こすことが示唆されている。脂肪細胞とマクロファージの共培養系にLPSを添加した場合、脂肪分解が惹起され産物であるグリセロールが遊離することを明らかにした。この反応にはSAA以外に抗TNF中和抗体存在下で抑制を受けることからTNF-αが関与することも示した。遊離グリセロールは肝臓に流入し、再度中性脂肪に合成される。疫学研究から歯周病の重症度と血中中性脂肪濃度の間に正の相関関係があることも示した。これらによりインスリン抵抗性のみならず動脈硬化の進行が促進されることを示した。
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