2010 Fiscal Year Annual Research Report
病棟の安全文化醸造に向けたKYT介入実践研究パラダイムの複合的展開
Project/Area Number |
21390567
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
兵藤 好美 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 准教授 (90151555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 共子 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (40227153)
細川 京子 山陽学園大学, 看護学部, 助手 (40554233)
深井 喜代子 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (70104809)
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Keywords | KYT(危険予知訓練) / 「医療安全の意識と行動」 / 信頼性 / 妥当性 / 安全文化尺度 / パス解析 / エラー報告 / 施設評価 |
Research Abstract |
【平成22年の研究成果】 今年度は、昨年度の予備調査(看護管理者を対象とした面接、病棟看護を対象とした質問紙調査)の結果を踏まえ、KYTの評価測定を目的とした尺度(下位尺度:「他の看護師へのフォローアップ行動」,「情報共有」,「円滑なコミュニケーション」,「協働システム」,「医療安全の促進行動」)を作成した。これらの評価尺度に関し、(1)評価尺度の信頼性を検証すること,(2)評価尺度の妥当性について「患者安全文化測定尺度」を用い、検証すること,(3)評価尺度の妥当性について「妥当性の一般化」や「モデルとの適合性」などを用いて検証することを目的とし、調査を行った。対象者は、A県内の病院勤務の看護師1009名(625部を回収、回収率61.9%)で、郵送法による自記式質問紙調査を行った。 その結果、(1)評価尺度は、信頼性(α係数=0.936)が高いことが明らかになった。(2)評価尺度と「安全文化尺度」との間で、やや相関(r=0.390** p<.01)が求められた。(3)KYTの実施は「未実施群」と「実施群」では、多くの項目において、「未実施群」より「実施群」の方が有意に高い値を示し、KYTの効果が示唆された。またパス解析からも、KYTの実施は「医療安全の意識と行動」と「エラー報告」に影響を及ぼすことが明らかになった。加えて評価尺度「医療安全の意識と行動」は、「施設評価」や「安全文化」に肯定的な影響を与えることが示唆された。 以上の結果より、評価尺度である「医療安全の意識と行動」は、信頼性および妥当性を得ていたことが検証され、KYTの実施評価方法として有用であると考えられる。今後は、実験的介入などでさらに妥当性を高めることや、個人・チーム・組織の枠組みで「医療安全の意識と行動」を捉えて検証する必要があると思われる。 *昨年から依頼のあった学生向けの「KYT教材」を作成し、継続・連載した(雑誌論文参照)。
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