2011 Fiscal Year Annual Research Report
病棟の安全文化醸造に向けたKYT介入実践研究パラダイムの複合的展開
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21390567
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
兵藤 好美 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 准教授 (90151555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 共子 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (40227153)
細川 京子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教 (40554233)
深井 喜代子 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (70104809)
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Keywords | 危険予知 / 実践介入 / 医療事故 / 新人看護師 / 安全文化 / 看護学生 / 評価尺度 |
Research Abstract |
【本年度:平成23年度】の成果を下記に報告する。 1.新人及び看護学生向けのKYT教材の開発については、平成23年度に原稿作成をほぼ終え、2004年度に発刊予定である。最終的には新人看護師を対象とし、KYT基礎4ラウンドの実施例を挙げ、記載・討議しながら学べるテキスト形式とした。2.KYTの単発法(4ラウンド法)に関する実践研究:病院の新人研修の機会にKYTを実施した。【研究の概要】1.対象者はA施設の新人看護師86名。その内、6ヶ月後の12月に56名から回答を得た。職種は看護師。2.手続き:平成23年6月に、発表者らが講師となってKYTの講習会を実施した。6ヶ月経過時点で、実施上の疑問や困難に関する相談の機会を設け、その間の変化について質問紙調査を行った。3.分析:今回はKYT実施に伴う医療安全に関する意識と行動(5件法)と安全文化等について分析した。【結果】KYT実施に伴う医療安全に関する意識と行動は14項目中10項目について有意な上昇を認めた。しかしながら安全文化については僅かな数との上昇は求められたものの、有意な変化は認められなかった。以上の結果より、新人看護師のKYT実施は、医療安全に対する意識と行動に変化をもたらすことが示唆された。 3.KYT評価尺度を用い、実験的介入を実施した。【研究の概要】1.対象者はB施設の医療安全委員18名。その内、11月研修の1ヶ月後調査に参加した11名から回答を得た。職種は看護師、介護士など。2.手続き:平成23年11月に、発表者らが講師となってKYTの講習会を実施した。1ヶ月経過時点で、実施上の疑問や困難に関する相談の機会を設け、その間の変化について質問紙調査を行った。3.分析:今回はKYT実施に伴う安全意識の変化の程度と具体例に関し数上量化III類を用いて分析、さらにKYT実施上の問題点を分類した。【結果】KYT実施に伴う安全意識は全員プラスに変化しており、平均点は1.73(SD:0.62)点であった。研究協力者に自覚された導入後の変化について、数量化III類を用い分析すると、第一軸は個人-チーム、第二軸は困惑-効果と解釈され、困難感と改善感の二カテゴリが認められた。実施後には「確認行為が増加した」「利用者により意識を向けた」「自分の行動をより意識化した」「大丈夫だと思っていた事を危険と感じた」といった内容が挙げられ、KYT実施に対する効果の感触が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の計画については、ほぼ予定通り実施されており、概ね順調に進展していると思われる。計画1.の教材にいては、数ヶ月後に発刊予定であり、成果が得られている。計画2・3については今年度介入を行い、実施前後変化を追跡して結果のまとめ作業に入っている。また計画4についても、1年間のデーター収集が終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
【今後の推進方策】データ分析の結果から、更に細かい質問項目の検討の必要性が明らかになった。そこで今後はKYT実施によって、大幅な変化の見られた項目と見られなかった項目を整理し、その理由や背景要因が明らかになるような内容に深めていく予定である。また質問項目についても分析結果を検討し、妥当性が高まるよう精鋭化を目指していきたい。
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Research Products
(3 results)