Research Abstract |
本研究には「子どもへのターミナルケア技術の構築」と「看護師のストレスを緩和するプログラムの開発」という2つの側面がある。以下,2つにわけて,今年までにおこなったことと今後のすすめ方を述べたい。 1.子どもに対するターミナルケア技術構築 本年までに,小児がん病棟でターミナルケアを多く経験した看護師52名,医師6名,心理士1名,院内学級の教師15名にインタビュー調査をおこなった。その結果,家族の死の予測,家族が子どもの病状の悪さを受け入れるための働きかけ,家族によい思い出を残すための関わり,ターミナル期の過ごし方と看取りについての家族の希望の引きだしとそれが実現できるためのサポート,他児の死が起こったときにどう対応するか,医療者間の情報の共有などの現象が把握できつつあるが,まだ,どれも理論的飽和に至っていないので,今後もグラウンデッド・セオリー・アプローチの手順に則ってデータ収集と分析を続けたい。 2.看護師のストレスを緩和するプログラムの開発 昨年,英国の病院とホスピスの看護師,悲嘆コーディネーター,チャプレン,心理士にインタビューをおこない収集したデータと,日本のデータとの比較によって,環境的な違いがもたらすストレスの違いがわかったものの,不足部分についての理論的サンプリングが必要だと考える。 これまで小児がんを中心とした慢性疾患による子どもの死を多く体験した看護師のストレスに注目してきたが,文献検討から急性疾患によるターミナルケアを経験する看護師のストレスとの違いを比較したいと考え,救急救命センターで働く看護師とPICU(小児集中治療病棟)で働く看護師各1名にインタビューを行った。その結果,とくにPICUでのターミナルケアは比較の対象として有意義だと思われたので,次年度以降,データ収集と分析を続けて,比較したいと考える。
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