2012 Fiscal Year Annual Research Report
働く母親のワークライフバランスと母子相互作用の縦断的研究
Project/Area Number |
21390603
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
三國 久美 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (50265097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 たい子 東京医科歯科大学, その他の研究科, 教授 (10156713)
草薙 美穂 天使大学, 看護栄養学部, 准教授 (90326554)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ワークライフバランス / 母子相互作用 / 就労女性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、働く母親とその子どもを対象とした縦断調査を実施し、働く母親のワークライフバランスと母子相互作用、子どもの発達との関連について明らかにすることである。 今年度は、働く母親とその子どもの母子相互作用の特徴を検討した。まだ、縦断的データ収集が進行中であるため、中間報告ではあるが、働く母親とその子ども47組を対象とした観察から得られた母子相互作用のデータを日本人母子のデータベース(廣瀬ら,2010)と比較した。さらに、子どもの年齢が1歳未満、1歳、1歳6か月の3時点で母子相互作用に差がみられるか検討した。なお、母子相互作用はNCATを用いて得点化した。その結果、働く母親とその子どもの母子相互作用は、子どもの下位尺度得点すべてにおいて日本人母子のデータベースの平均得点を上回っていた。中でも、子どもが1歳未満と1歳の時点での下位尺度「養育者への反応性」および子どもの総得点は、日本人母子の平均得点の1SDを超えていた。子どもの年齢が1歳未満、1歳、1歳6か月の3時点における母子相互作用を比較したところ、母子の総合得点、子どもの総合得点、子どもの下位尺度「養育者への反応性」、子どもの随伴性得点において、1歳時点で最も得点が高く、母親の下位尺度「社会情緒的発達の促進」では、1歳未満の時点で最も得点が低かった。 これらのことから、母親の就労や乳児保育が母子相互作用の質に悪影響を与えていないことが示唆された。また、「養育者への反応性」の高さは、保育園で必要な世話を受けるために、子どもははっきりと自分の反応をアピールする必要があり、その現れではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縦断研究の限界であるが、データ収集の中断者が徐々に増えている。この原因として、転出先不明者や遠方への転出者がおり、データ収集の継続の困難さがあげられる。さらに、本研究で対象とした地域が、都市であり、若い世代の転出入が多いことも背景にある。 対策として、訪問ではなく郵送法による調査に切り替え、収集可能なデータを蓄積している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、次年度が最終年度にあたる。研究成果をまとめ、公表する内容や方法について、打合せ会議を開催し、検討する必要がある。
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