2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21401009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤倉 達郎 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (80419449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 明 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90212513)
内山田 康 筑波大学, 人文社会科学研究科, 教授 (50344841)
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Keywords | ネパール / インド / スリランカ / 社会運動 / アクター・ネットワーク理論 |
Research Abstract |
本研究は、南アジア地域において、搾取や差別た対する闘いや農村の過疎化・疲弊に対抗して始まった社会運動の事例研究を行うことにより、自由化やグローバル化の中で急速に変貌する現代南アジア農村部の変容過程に光をあてるとともに、「第三世界」における社会運動と開発にういての新たな分析視点の構築に貢献することを目的としている。ネパールにおける債務農業労働者の解放運動と南インドのダリト(被差別カースト)の地位向上運動を中心的な事例として研究し南アジア地域の社会運動の固有性と多様性をとらえることをひとつの目的とする。これらの運動について、その「契機」と「結果」だけではなく、その過程の複雑さや、参加者の経験や解釈の多様性を重視する。 23年度はとくにネパールにおける債務農業労働者解放運動の展開とタルー人の自治州要求運動、南インドにおけるダリトの儀礼実践を中心的な事例として検討した。 これらの事例をめぐり、社会的事実を「動き」や「アッサンブラージュ」という視点からとらえることの有効性について議論した。また「人権」や「民族自治」、「主体性」や「アイデンティティー」といった概念を動員し、人口統計や地図などの統治技術に積極的に関与しつつ行われる社会運動に対する、Latourらの言うネットワークやsubscription等の概念の有効性を検討した。これらについて代表者がネパールのカトマンズにおける国際学会で発表し、研究者や民族主義運動の当事者と議論を行った。また各分担者が日本の公害、軍事基地、原子力や震災復興をめぐる事例を検討し、南アジアの事例と比較しつつ、それら双方の理解に資する方法論的視座の構築に努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各事例研究は順調に進展んしており、理論的側面に関しても、学会発表等をとおして議論が深まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度にあたるため、国内研究会を複数回行い、研究成果を総括する。またネパールで開催される学会においても成果を発表する。
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Research Products
(8 results)