2009 Fiscal Year Annual Research Report
言語・文化調査に基づくイラワジ・サルウィン流域諸民族の歴史の解明
Project/Area Number |
21401021
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
新谷 忠彦 Tokyo University of Foreign Studies, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90114800)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ダニエルス クリスチャン 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30234553)
|
Keywords | サルウィン / イラワジ / ワ族 / パラウン族 / プラン族 / ラワン族 / カレン族 |
Research Abstract |
計画初年度に最初に手掛けた調査として、中国雲南省の徳宏州及びそれに隣接する保山地区、臨滄地区でサルウィン流域系のタイ系民族、ワ系を中心とした北方モンクメール系民族の言語・文化調査を行った。この調査では、徳宏タイ語で書かれた文献資料を収集・分類・整理する中で、徳宏タイ語で書かれた年代記を発見し、その解読に着手した。こうした年代記は、タイ系民族自身が自分たちの歴史をどのように見ているのか、また、自分たち以外の民族に対してどのような考えを持っているのかを知る上で重要な手掛かりになるはずであり、これまでの漢語資料からは得ることができない貴重な情報を提供してくれるはずである。さらに、タイ系民族と深い関係を持つ北方モンクメール系民族のワ族を中心に、それに近いパラウン族も含めて口頭伝承を幅広く収集し、言語学的資料として音韻論的分析、統語論的分析を行うと共に、口頭伝承が持つ歴史的・文化的な意味について今後の研究を進める上で貴重な資料を収集できた。次に手掛けた調査は、中国雲南省のシプソンパンナーで、主にプランの言語・文化資料を収集した。こうして収集された資料から、プラン族に言語・文化面でたくさんの異なるグループが存在する理由を、タイ系民族との接触関係から解明できないか現在検討を進めている。本年度最後に行った調査地はタイ王国で、ビルマからの難民を対象にイラワジ流域系の民族であるカレン、ラワシ、カチン系民族の言語・文化調査を行った。この調査からは、カレン系言語とラワン系言語の間にかなり深い関係があることが分かり、イラワジ流域で展開された民族移動の歴史について、今後の調査研究によって、これまでの常識を覆すことができる可能性も出てきた。
|
Research Products
(9 results)