2010 Fiscal Year Annual Research Report
インド・パキスタン分離独立の農村的起源―ベンガルの場合―
Project/Area Number |
21401024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中里 成章 東京大学, 東洋文化研究所, 研究員 (30114581)
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Keywords | 東洋史 / 地域研究 / 南アジア / インド / ベンガル / バングラデシュ / コミュナリズム / ナショナリズム |
Research Abstract |
研究代表者は、コミュナリズムの拡大深化も含め、印パ分離独立の社会的・経済的背景を明らかにすることを研究の柱の一つにしてきた。本プロジェクトはその一環をなすもので、分離独立の時にインドの西ベンガル州と東パキスタンとに分割されたベンガル州に地域を絞り、新たに公開された原史料を利用して、1930年代から40年代にかけて、農村部でコミュナリズムがどのようにして広がり、農民の支持を獲得したかを解明し、印パ分離独立研究の重要な欠落部-分離独立の農村的起源の問題-を埋めることを目指すものである。 今年度はインドにおける現地史料調査を、10月30日から12月13日までと2月14日から3月2日までの2回、西ベンガル州公文書館、インド国立公文書館及びネルー記念図書館マニュスクリプト部で行った。西ベンガル州公文書館では、本プロジェクトで中核的文書と位置づけるベンガル警察情報部の機密ファイルのうち主に、地方で開かれた各種政治集会に関する報告を閲覧した。閲覧室でのパソコン使用禁止、及び複写システムの混乱という予期しない事態に遭遇したため、集会に関する臨席警察官の詳細な報告などについて、一部調査不十分なところが出たが,農村における政治動員の大筋について見通しをつけつことができたと考えている。ネルー記念図書館マニュスクリプト部での史料調査は、予定を変更して、右翼政党ヒンドゥー大協会のベンガルの指導者の個人文書を閲覧し、農村集会の際に配布されたベンガル語パンフレットなどのコピーを入手した。 今年度の調査でえられた新たな知見は、集会への参加者数が予想よりも少ないこと(1000人を越える集会は多くない)、その中では共産党系の農民運動組織の拡大が目立つことなどである。
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Research Products
(1 results)