2010 Fiscal Year Annual Research Report
古代エジプト王朝衰退期における交換・交易活動に関する考古学・銘辞学的研究
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21401029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川西 宏幸 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (70132800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周藤 芳幸 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70252202)
堀 賀貴 九州大学, 大学院・人間環境学研究科(研究院), 教授 (20294655)
内田 杉彦 明倫短期大学, 歯科技工士学科, 准教授 (00211772)
辻村 純代 国士舘大学, 付置研究所, 研究員 (60183480)
津本 英利 古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (40553045)
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Keywords | エジプト / アコリス / 第3中間期 / 手工業生産 / 交易 / レバント / フェニキア / 中間層 |
Research Abstract |
平成22年7~9月にエジプト・アコリス遺跡で実質2ヶ月にわたる現地調査を実施すると同時に、エジプト国内で中部エジプトおよびデルタ方面の遺跡を踏査し、在外研究所で資料収集を行った。 アコリス遺跡出土の外来系遺物(とりわけ土器)の産地は、地中海東岸のレバントに求められることが明らかとなり、フェニキア人の交易活動によって搬入された可能性が高いことを提示しえた。出土したパピルス史料からもその手がかりが得られた。また、王朝と密に結びついた神殿管理のもとで一括生産され、配布されたと考えられている護符類も、アコリスで製作されていたことがファイアンス製護符用の鋳型の出土から窺われる。アコリスの新王国時代末期から第3中間期の集落で手工業生産と交易活動に携った住民は、王朝管理を脱した新しい価値観を有する中間層であったことも解明されつつある。当時のレバント、キプロス、エーゲ海方面で交易を梃子に抬頭した新住民層と通底するアコリス中間層のこの相貌は、王朝の衰退が混迷を導くという既存の通説に、新しいパラダイムをつきつけることになる。 この成果の一部は、平成23年3月26、27日の西アジア考古学会、および4月2、3日のアコリス調査公開シンポジウムで公表し、議論を重ねる予定であったが、いずれも3月11日の東日本大震災の影響を受け中止となった。なお、アコリス公開シンポジウムは期日を改めて開催予定である。
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Research Products
(4 results)