2009 Fiscal Year Annual Research Report
紀年銘中原青銅器の再検討による中国北方青銅器文化研究の再構築
Project/Area Number |
21401034
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Research Institution | Kokugakuin Tochigi Junior College |
Principal Investigator |
小林 青樹 Kokugakuin Tochigi Junior College, 日本史学科, 准教授 (30284053)
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Keywords | 紀年銘中原青銅器 / 中国北方青銅器文化 / 内蒙古自治区 / 遼寧省 / 年代 / 鄭家窪子遺跡 / 鋳型資料 / 遼西式銅戈 |
Research Abstract |
内蒙古自治区と遼寧省を中心とする中国北方地域は、朝鮮半島及び日本列島の弥生文化の青銅器の起源の地と考えられている重要な地域である。本研究の目的は、紀年銘中原青銅器の年代の再検討によって中国北方地域における青銅器の年代と文化に関する研究の再構築を行うことにある。以上の中国北方青銅器文化の起源・系譜・年代の再構築により、朝鮮青銅器文化や弥生文化をはじめ、東南アジアなど中原の周辺地域であるアジア全体の年代観の再構築をも視野に入れることを目的とする。 平成21年度は国内での調査研究と中国での調査を実施した。国内での調査では、東京大学文学部考古学研究室所蔵青銅器の目録作成を行い、また中国中原における紀年銘青銅器の集成作業を開始した。一方、中国での調査については、当初、北京市と内蒙古自治区西部地域の資料調査を中心に実施する予定であったが、諸般の事情で交付申請後に予定を変更することになり、申請時の対策方法にしたがい遼寧省における調査に変更した。これは、2年目以降の予定を前倒ししたものであり研究の推進に問題はない。 調査は、遼寧省の藩陽、遼寧省文物考古研究所を基点に、遼寧省博物館、遼東地域(遼陽博物館、寛甸博物館)において、研究協力者5名の協力により10月に実施した。藩陽では北方地域の年代を考える上で重要な鄭家窪子遺跡の資料、遼陽博物館では当地域の遼寧式銅剣の鋳型資料の新出資料、寛甸博物館では遼東で初となる遼西式銅戈系の資料を実見することができた。いずれも、中国北方地域の青銅器の年代を考える上で重要であるとともに、本研究推進の上でも重要な資料である。また、さらに重要な資料の存在についての情報も遼寧省文物考古研究所において知ることができた。
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