2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代ラテンアメリカにおける文書管理実践の史的展開―歴史人類学的研究
Project/Area Number |
21401038
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
吉江 貴文 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (70405489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝田 のぞみ 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 嘱託講師 (70532753)
齋藤 晃 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 准教授 (20290926)
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Keywords | 文化人類学 / ラテンアメリカ / 近代 / 文書管理 / 公証人 |
Research Abstract |
本年度は、次の二点を研究活動の重点領域に設定し、ヨーロッパ(スペイン・イタリア・イギリス)とラテンアメリカ(ペルー・ボリビア)のアーカイブズ・研究機関における資料収集・調査を実施した。 1. ヨーロッパ諸国(スペイン、イタリア、イギリス)のアーカイブ調査に基づいて、近代ヨーロッパにおける公文書管理システムの全体像の把握に努める。 2. ラテンアメリカ(ペルー、ボリビア)における海外調査を実施し、国家および地域レベルの文書管理実践の在り方に関する基礎的データおよび関連情報の収集・整理・分析を行う その結果、次のような成果が得られた。 (1) エスクリバーノ(公証人・書記)が用いた文書管理マニュアルFormularioと公証人帳簿Protocoloの参照関係を分析することにより、中世後期から近代初期ヨーロッパにおいて構築されたエスクリバーノ制度に関する概念・技術が、16世紀以降、具体的にどのようなプロセスを経てラテンアメリカに移植されていったのかを究明した。 (2) 旧ペルー副王領(現ペルー、ボリビア)において収集した資料を手がかりに、エスクリバーノ制度をめぐるマクロな概念や制度が地域レベルでの文書管理実践の試みとどのように衝突もしくは融合したのかを、植民地期・独立期を通して先住民層の厚い地域として知られるアヤクーチョ県(ペルー)とラパス県(ボリビア)の事例に基づいて実体的に明らかにした。
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