2011 Fiscal Year Annual Research Report
台湾原住民13族の伝統的織物の制作技術と文様色彩にみるアジアンデザインの構造比較
Project/Area Number |
21401043
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
黄 國賓 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科, 助手 (90195967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊木 崇人 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科, 教授 (90195967)
松本 美保子 神戸芸術工科大学, 名誉教授 (90219519)
杉浦 康平 神戸芸術工科大学, 名誉教授 (00226432)
曽和 英子 神戸芸術工科大学, アジアンデザイン研究所, 客員研究員 (80537134)
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Keywords | 台湾原住民族 / 織物 / 織物技法 / 織物文様 / 蛇文化 / 染色 / 色彩語彙 / 配色原理 |
Research Abstract |
23年度の6月(奈良天理大学附属天理参考館)、8月(台湾桃園県復興郷澤仁村、大渓鎮、宜蘭県南澳郷、武塔村、花蓮縣寿豊郷水連部落、花蓮県万栄郷支亜干部落)12月(凱達格蘭文化館、北投文物館、中央研究院民族学研究博物館、順益台湾原住民博物館、国立台湾博物館)には3回に渡って現地のフィールドワーク調査を実施し、過去2年度の調査資料に基づき、図解による時間軸と空間軸の分析法を用いて、「台湾原住民族」の織物にみられる技法、文様、色彩体系などの地域特性、形成背景、変遷要因の分析研究を行った。今年度の成果として主に2点に纏められる。 1.形態類似の分類を通して、本来各種族がもつべき固有文様の形態をはっきり明瞭化させただけではなく、地域差によって作られた文様特色や織物の文様のもつ文化的背景要因も読み取ることができた。菱形系統図からみた台湾原住民族の信仰は南から北に向けて、おおよそ、「蛇文化」→「蛇の昇格文化(ピュマ族における龍の鱗)」→「龍の昇格文化(サイシャット族、タロコ族、タイヤル族のような祖霊崇拝)」三つの信仰段階が読み取れた。それらの信仰概念は文様の作成にも影響を与え、同じ菱形文の表現と言っても北部へ行けばいくほど複雑化する傾向がみえた。また、台湾原住民13族の伝統的織物の幾つかの特定の文様系統は、その使用が特定の種族に限られていることも分かった。例えば「V字菱形文」はパイワン族、「X字菱形文」「文字文」はタイヤル族、「八角星形文」はルカイ族、「不等辺六角形」はタロコ族、「十字形文」はピュマ族、「人像文」「太陽文」はパイワン族とルカイ族の織物にのみ見られた。 2.伝統的な染色があまり行なわれなくなって久しい現地では、インタビューを通して染料となる草の名前や染色技法などを伺うことはほぼ不可能に近いことが分かり、色彩語彙と織物の配色原理を分析することにより、これらの空白を埋めることにした。実際、語彙や配色分析を通して諸族の配色には彼らの文化の記憶がいくらか残っていることが分かった。また、これまで研究が進んだ西洋の諸民族の色彩文化発達とは異なる発達ルートを経ていることも明らかになった。
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Research Products
(4 results)