2009 Fiscal Year Annual Research Report
マヤ文明の政治経済組織の通時的変化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21402008
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
青山 和夫 Ibaraki University, 人文学部, 教授 (70292464)
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Keywords | 考古学 / 先史学 / 文化人類学 / 国際情報交換 / 多国籍 / マヤ文明 / セイバル遺跡 / メソアメリカ |
Research Abstract |
中米グアテマラ共和国セイバル遺跡において、広範な発掘区の層位的発掘調査を実施した。出土した遺物の詳細な分析を通して、マヤ文明の政治経済組織の通時的変化に関する基礎的研究を行った。研究協力者(海外共同研究)と協力して、土器、石器、その他の遺物の全ての出土遺物を分析対象とした。セイバル遺跡の9世紀の王宮を発掘し、その壁を装飾した漆喰彫刻が出土した。さらに、その下の建造物の増改築を明らかにして、前700年頃の大型の公共建造物を検出した。またセイバル最大の神殿ピラミッドの前の層位的発掘調査を実施した結果、前1000~前400年の建造物の増改築を確認できた。セイバルの初期の建設活動は、従来考えられていたよりも盛んだったのである。一方、前700年頃のオルメカ美術様式の緑石製磨製石斧の埋納が見つかった。セイバルの支配層は、先古典期中期の初期からメソアメリカのオルメカ美術様式を構成する遠距離交換網に参加していたことがわかった。セイバル遺跡から出土した石器の製作技術・工程に関する属性分析を行い、石器の分析データをコンピュータに入力してデータベース化した。また出土した主要な石器の写真撮影を行った。セイバルは、前1000~後1000年の約2000年にわたる政治経済組織の通時的研究(マヤ文明の起源、王権や都市の盛衰)に理想的な遺跡といえる。
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