2009 Fiscal Year Annual Research Report
平和構築における現地社会のオーナーシップ育成の課題
Project/Area Number |
21402014
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
篠田 英朗 Hiroshima University, 平和科学研究センター, 准教授 (60314712)
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Keywords | 平和構築 / オーナーシップ / シエラレオネ / スリランカ |
Research Abstract |
本研究は、「平和構築における現地社会のオーナーシップ育成の課題」について、総合的な検討を加えるものである。初年度である平成21年度は、国際社会における「オーナーシップ」原則をめぐる歴史的背景と理論的基盤をふまえた視点の整理を行いつっ、重要な事例となる地域での現地調査を行った。理論的整理の成果は、『広島平和科学』31号に掲載された論文において示されているが、「オーナーシップ」原則がこれまで国際社会でどのような重要性を持たされてきたのか、また平和構築の戦略においてなぜ「オーナーシップの育成」が重要なのかについて、理論的議論の整理と概念的枠組みの整理を行った。次に本年度は主にシエラレオネとスリランカにおける現地調査を行った。両者は、際立った対比を見せながら、平和構築における「オーナーシップ育成の課題」を劇的に示している事例である。シエラレオネの場合、地域機構(ECOWAS)及び国連の大々的な軍事介入及びその後の統治機構に深く踏み込んだ国際支援が、国際社会が主導する関与の下での典型的なアフリカの紛争後国での平和構築におけるオーナーシップ育成の課題を示している。スリランカの場合、国際的な和平調停が破綻した後、政府側の軍事行動が反政府軍(LTTE)を殲滅して、長き内戦が終結した。これによって欧米諸国が現政権に批判的になった一方で、政権側は、中国などの後ろ盾を得ながら、独自の内戦後処理政策をとっている。介入を嫌う典型的なアジアの紛争後国の一つが、スリランカである。両者を比較しながら、平和構築におけるオーナーシップ育成の課題を精査することが、今後の本研究においてさらに進められることである。
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