2010 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル時代のマルチ・レベル・ガバナンス-EUと東アジアのサブリージョン比較
Project/Area Number |
21402016
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
多賀 秀敏 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (30143746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和 山形大学, 人文学部, 教授 (50238094)
大津 浩 成城大学, 法学部, 教授 (10194200)
臼井 陽一郎 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 教授 (90267451)
柑本 英雄 弘前大学, 人文学部, 准教授 (00308230)
吉川 健治 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 准教授 (30512727)
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Keywords | サブリージョン / サブリージョナリズム / 越境 / インターレグ / GMS / リージョナリズム / 東アジア共同体 / シェンゲン |
Research Abstract |
本研究の目的は、越境広域地域へのガバナンスの有効性を問う点にある。本研究は、欧州やGMSでの国境現地調査を徹底してきた。本年度も、GMS地域やEU周辺部など実地調査を数本派遣した。西欧流主権国家体系下では特異なGMSを軸に比較分析を行う可能性が開けてきた。複数の社会科学分野からのサブリージョン分析の汎用モデル化が目的になる。リージョン形成が未発達な東アジアには、国家間の公式の越境空間次元とは別に、伝統的に非公式な越境・跨境次元が存在する事実と、GMSの特殊性とをすでに発見した。GMSについては、総合的に接近する研究が皆無に等しい。本研究は、第1に、経済一辺倒をさけ学際的アプローチを維持した。第2に、欧亜比較も可能かつ有益なことが実証された。第3に、先行欧州モデルからGMSモデルを比較の中心に据えて汎用モデルの完成を目指す。第4に、FTA研究などの国際関係の表面のみに関する記述分析を補完する。本研究のオリジナリティは、実態観察に基づく汎用分析モデルを志向する点にある。欧州での研究は、EUの越境地域協力(CBC)の進展下でEUの域内外での人の移動に関する制度確立を明らかにする。CBCは、EU域内外の地域でも人の移動を活発化させた。一方、人の移動の流動化はシェンゲン条約による国境管理を強化させ、EUは矛盾した政策を進行させた。この状況から、ヒトの移動の制度化の観点から分析を行い、同条約の強化はシェンゲン圏の東方拡大に伴う「不法」移民阻止が目的であり、CBCには規制緩和を図っていること、同条約の強化は、EUの選別的対応であることも明らかになった。国境管理の強化は、国家の権限に地域で対処せねばならないこと、地域住民に限定して緩和する措置には、個人情報をEUレベルで共有する問題も生じさせた。国家間の信頼醸成を補完する越境地域協力が、国家の論理に翻弄される状況を生み出している。
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Research Products
(10 results)