2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国の都市基層社会の自治に関する調査研究―居民委員会を中心として
Project/Area Number |
21402030
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
唐 燕霞 The University of Shimane, 総合政策学部, 教授 (80326404)
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Keywords | 社会学 / 政治学 |
Research Abstract |
本研究は中国都市部の「社区」(コミュニティ)に焦点を当て、国家と社会の関係の再編過程における「社区居民委員会」の実態調査を通じて、都市部における住民自治のあり方と、それが中国社会の支配構造にもたらす影響を社会学と政治学のアプローチから実証的に分析するものである。 上記の目的を達成するために、唐と連携研究者李、江口は月に1回学内勉強会を行い、先行研究を踏まえながら、方法論的検討を行った。また、平成21年6月20日に一橋大学で唐と国内連携研究者は研究打ち合わせ会を開き、夏休みの調査プラン、今年度の研究方針を検討した。7月27日~8月8日にかけて、唐と連携研究者はまず中国の北京で研究会を開き、中国人民大学の学者や社会科学院の研究者たちと学術交流を行い、現地調査に際しての方法論などを議論した。その後,青島市、煙台市、藩陽市の民政局や居民委員会などでインタビュー調査を行った。さらに、平成22年3月9日に藩陽師範大学社会学院の劉平教授を招聘して、島根県立大学でワークショップを開催した。ワークショップでは、藩陽市のような重工業基地の「社区」建設は国有企業改革の影響を強く受けて、改革の過程において社会に弾き出された弱者の救済(「下崗」従業員の生活保護や再就職の斡旋など)が社区居民委員会の重要な業務の一つとなり、社区の住民自治を考察する際に、国有企業改革や都市改革などの背景も同時に研究する必要がある、という議論を行った。 以上の研究活動を通じて、地域的特性と居民委員会の発展の多様性などが確認できた。初年度の調査や中国の研究者との交流は次年度以降の現地調査やアンケート調査の基礎を固めることができて、研究を継続的に推進していく上で重要な役割を果たした。
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Research Products
(4 results)