2010 Fiscal Year Annual Research Report
生育環境とその格差が子どもの生活の質と精神的健康に及ぼす影響
Project/Area Number |
21402044
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
榊原 洋一 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (10143463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 伸子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (70017630)
篁 倫子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (10280570)
菅原 ますみ お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (20211302)
浜野 隆 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (00262288)
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Keywords | QOL / 自尊感情 / 多動 / 注意欠陥 / 国際格差 / ベトナム / タイ / 中国 |
Research Abstract |
今年度は、調査対象国(ベトナム、タイ、中国、日本)の、それぞれ異なった3地域の幼稚園あるいは保育園に通園する5~6歳児の保護者から回収された1773通(ベトナム468通、タイ202通、中国546通、日本557通)の質問紙の一次分析を行った。 本調査の主要な結果変数である子どもの生活の質(QOL)は、Kiddy-KINDL測定尺度を用いて、子どもの身体、情緒、自尊感情、家族、友人、園生活の6領域およびにおける生活の質を測定した。 子どものQOLには国間で有意の差が認められた。データ未分析の中国を除く、3力国間で6領域のQOLの総合スコアを比較すると、それぞれに領域において、統計的な有意差が認められた。身体的および情緒的QOLは日本が、タイ、ベトナムより有意に高いが、自尊感情や家族ではベトナムが日本、タイより優位に高い結果が得られた。園生活のQOLでは、日本、ベトナム、タイの順でそれぞれの間に有意の差が認められた。 それぞれの国の中の3地域間でも、QOLに有意差が認められた。タイでは中部のナコンスワン(農村)に在住の子どもの情緒的QOLは、北部のチエンライより有意に高く、ベトナムにおいても、大都市であるホーチミン市や、メコンデルタの中核都市のビンロン市の子どものQOLが複数の領域において、山岳部にあるバオラック市より有意に高かった。しかし、日本においてはそのようなQOLの地域差は認められなかった。 QOLとともに、近年頻度の高い発達障害として社会的関心の高い多動行動については、DuPaulの多動評定尺度によって測定を行ったが、多動・衝動性と注意欠陥の総合評点において、タイ>ベトナム>日本の順で、それぞれの間に著明な有意差が認められた。 来年度は、今年度の調査対象児に対して、第二次の質問紙調査を行い、継時的なQOL.の変化などを分析するとともに、国、地域間のQOLをはじめとする、結果変数の有意差に相関する因子の分析を行う。
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