2011 Fiscal Year Annual Research Report
生育環境とその格差が子どもの生活の質と精神的健康に及ぼす影響
Project/Area Number |
21402044
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
榊原 洋一 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (10143463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 伸子 お茶の水女子大学, 名誉教授 (70017630)
篁 倫子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (10280570)
菅原 ますみ お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (20211302)
浜野 隆 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (00262288)
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Keywords | QOL / アジア / 生育環境 / 問題行動 / 注意欠陥多動性障害 / 自尊感情 |
Research Abstract |
アジアの4カ国(日本、中国、タイ、ベトナム)それぞれ3地域、計12地域で、第2回目の質問紙調査を終了した。1回目調査では5歳児計1773名の保護者から回答が寄せられた。今年度は一回目調査から1年半経過し、7歳になり小学校に入学した前回調査対象児に対して、前回同様のQOL尺度と子どもの問題行動や多動性行動を評定する尺度を含む質問紙によって調査を行った。 タイの洪水などで、第二次調査の質問紙回収に遅れが生じたが、無事年度内全地域からの質問紙の回収とデータ入力が終了した。 1回目調査のデータ解析を、それぞれの国ごとと4カ国をまとめたデータベースをもとに行った。解析の結果、以下のような結果を得ることができた。 (1)子どもの生活の質(QOL)には、有意な国格差、地域格差が認められた。地域格差の程度は、国によって異なり、日本では4カ国の中で地域格差が最も少なかった。 (2)先行研究によって明らかにあされている日本の子どもの自尊感情の低さが改めて確認された。4カ国の中で中国ついでベトナムの子どもの自尊感情が高かった。しかしタイの子どもは日本同様に自尊感情が低く、自尊感情に文化的背景があることが確認された。 (3)発達障害の中で最も頻度の高い注意欠陥多動性障害(ADHD)の可能性のある子どもの頻度は日本、中国はそれぞれ4.0%,3.7%であったが、タイでは11%と高く、ADHDの文化差が明らかになった。 現在も、第2次調査を含めたデータベースを使い、子どものQOLと問題行動を決定する要因を、因果関係を推定できる統計的手法を使って解析中である。なお、本年度末に、これまでの分析結果をまとめた報告書(「アジアの子どものQOL」)を印刷し、研究協力者および関係者に配布した。
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Research Products
(2 results)