Research Abstract |
ダスト発生予測モデル完成のため,(1)植物のフェノロジーおよび植生量に関する調査,(2)松岡モデルに必要な,葉面積指数と植物群落が吸収する運動量関係を表すパラメータの決定,(3)木村モデルに必要な,葉面積指数と地表面が吸収する運動量からダスト発生量算出に必要なパラメータの決定を行った。対象とする植物を中国西北部乾燥地で利用可能なハネガヤとカラガナとしたため,湿潤な日本国内では大規模の群落を栽培できない。そのため同地区に存在する大規模なそれらの植物群落上調査を行う必要があった。研究期間内の調査は基本的にと今回の観測のために設置した藩陽農業大学庫倫観測点(中華人民共和国内蒙古自治区庫倫旗)と中国科学院砂漠研究所張掖観測点(甘粛張掖市)周辺で行った。 庫倫観測点周辺は,ウィンドエロージョンが発生する地域で,灌木(カラガナ:Caragana spp.)による緑化が行われている。研究代表者ら一昨年度から,超音波風速計と粉塵計を設置して観測を開始しフェノロジーとバルク輸送係数の関係を明らかにしており,この地域に対して松岡モデルや木村モデルのパラメータの確認を行った。これらの観測点付近の生育年数あるいは生育密度の異なる植物群落を用いて,超音波風速計と粉塵計を設置した同様な観測を行い,こちらにおいても,このデータを継続的に取り,この地域に対して松岡モデルや木村モデルのパラメータを決定した。 また,研究分担者の王を中心に,衛星リモートセンシングを用いて,上記植物群落のLAI推定手法を確立した。昨年度,フェノロジーを衛星リモートセンシングで検出する手法は確立されていたので,それを応用して他地点における灌木のLAIを推定した。この手法に,松岡モデル,木村モデルを組み合わせることによって,対象地域の灌木のダスト発生抑止能力を推定した。GIS上で,灌木などによるダスト発生抑止能力を評価し,同時に対象地域のダスト発生予測ハザードマップを作成し,現地の研究者と協力してハザードマップを用いて,現地住民の灌木による緑化意識の向上を図るワークショップを開催した。
|