2009 Fiscal Year Annual Research Report
キツネザル類の生活史の進化に関する社会生態学的・遺伝学的研究
Project/Area Number |
21405015
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
高畑 由起夫 Kwansei Gakuin University, 総合政策学部, 教授 (90183061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (00177750)
茶谷 薫 名古屋芸術大学, 音楽学部, 講師 (80278530)
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Keywords | ワオキツネザル / マイクロサテライト遺伝子座 / 個体群動態 / 採食生態 / 捕獲調査 / 麻酔剤 / 生体計測 / 尾の形態 |
Research Abstract |
2009年6月~9月に、京都大学霊長類研究所でワオキツネザルを対象に、遺伝学分析をおこなった(市野;研究協力者)。1998~99年にベレンティ保護区で採取されたワオキツネザルの遺伝試料(134試料)について、8マイクロサテライト遺伝子座の遺伝子型を決定できた。現在、分析中だが、以下の2点で重要である。(1)1999年での調査個体群の全個体の遺伝子型を決定できたので、ワオキツネザル個体群の遺伝構造が明らかにできる。(2)1998年と99年に生まれたアカンボウの父子判定を行い、オスの繁殖成功について明らかにできる。 8月~10月にかけてベレンティ保護区で、野生個体群の個体と出産確認をおこなった(市野、宮本、相馬;研究協力者)。9月には重要採食種であるタマリンド(Tamarindus indica)の果実の利用可能性調査を行った(相馬)。これらの結果をもとに個体群動態を分析しているところである(高畑、市野、宮本、相馬)。 遺伝学的資料を採取するため、26個体を捕獲した。その際、従来使用してきた薬品が国内外で麻薬指定されたため、野外調査時に有効な代替の麻酔法を検討した(川本)。3種の麻酔法を比較した結果、塩酸メデトミジン、酒石酸ブトルファノール、ミダゾラムの混合により良好な麻酔効果が得られることを確認した。拮抗薬の作用も顕著なことから、今後の研究で予定している計測や試料採取を安全、かつ効果的に行う目処がたてられた。 捕獲個体のほか、シファカとチャイロキツネザル各1頭を生体計測した(茶谷)。計測項目は頭部と尾部を含む体幹および四肢各部の長さ、幅、周径、皮厚、体重等で、歯も観察した。分析の結果、ワオキツネザルの長い尾が外見とは異なり、実質部分は非常に細いことが判明した。よって尾を動かしたり重力に逆らって高く掲げたりする際のコストはかなり小さいと考察された。
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