2009 Fiscal Year Annual Research Report
アジア熱帯域、特にタイにおける「スクロース・ワールド」構成メンバーの調査研究
Project/Area Number |
21405020
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 淳夫 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (90186312)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 春英 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (80241363)
|
Keywords | ショ糖 / 分泌 / 生物間相互作用 |
Research Abstract |
植物が光合成で作る同化澱粉は、ショ糖に転換される。植物はショ糖を色々な組織から分泌し、環境生物(微生物や昆虫)とクロストークするが、最近その量が膨大であることが分った(この系を「スクロース・ワールド」と仮称)。本研究の目的は、スクロース・ワールドのメンバー(環境生物と酵素)を調査し、最終的に応用研究に発展させることである。具体的には、i)植物の特に根と花に注目;ii)ショ糖を多糖・オリゴ糖に変換する環境生物やその酵素を探索;iii)多糖を他の糖質転換体(直鎖型・環状型のオリゴ糖)に導く環境生物や酵素を取得する調査;iv)光合成量が高く海外共同研究者の協力で迅速な調査が可能なタイで実施、である。ショ糖は安価なため、本プロジェクト終了後は、スクロース・ワールドの構成員を用いる応用研究への発展を図る。本年度は次の結果を得た。 土壌試料の採集:1)採集部位と採集時期:サトウキビに関し採集部位の影響はなかった。ウチワヤシは根長が大きく水平分布の調査としたが、大きな変化は認められなかった。これは乾期のデータであり、雨期の調査は次年度に行う。「ショ糖→多糖」合成:2)合成細菌の取得・同定:炭素源をショ糖にした寒天培地(他は無機塩)を用いて多数の多糖合成菌を得た。特に合成能力の強い菌種の同定を行っている。3)合成酵素と多糖の精製:多糖合成能の高い菌株に関し調査を行った。合成酵素は菌体表面に存在するので、菌体破砕液から酵素精製を開始した。多糖については、培養液から精製を行っている。花バチとミツアリ:4)密の採集とオリゴ糖の精製・構造決定:標的昆虫の蜜を採集したが、ミツアリに関しては微量であり採取を継続している。花バチはオリゴ糖を精製中である。耐熱性が高い新規な転移酵素:5)サトウキビやウチワヤシの根周辺土壌の懸濁液を熱処理し、目的の酵素合成菌をスクリーニングしている。
|