2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミシシッピ湿地林のハリケーン後遺症と回復に関する時空間的、生態学的、生理学的研究
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21405022
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山本 福壽 鳥取大学, 農学部, 教授 (60112322)
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Keywords | ハリケーン・カトリーナ / 湿地林 / ミシシッピ / ヌマスギ / ナンキンハゼ / センダン / 耐塩性 / ベタイン類 |
Research Abstract |
2005年8月にアメリカ合衆国南部に甚大な被害をもたらしたハリケーン「カトリーナ」を研究事例として、衛星画像と航空機LiDARデータ・航空写真を用いて、広範囲に広がる森林の被害状況と回復過程を効率的に把握することを目的として解析を行った。その結果、ハリケーン被災直前と直後のNDVIの差分を取ることで風倒や先折れによると予想される直接被害地域を推定することができた。また、被災直後3時期の衛星画像から植物活性度を表すNDVIと地表面の水分量を表すLSWIを用いることで、塩水が長時間停滞し植生に影響を与えたと予想される間接被害地域を推定することができた。さらに、森林範囲で切り取った画像で被災後2年間のNDVIの増加量を求めることで急速な植生回復地域を推定することが出来た。これらの解析手法を用いることで効率的に森林被害地域と再生状況を把握でき、森林管理や環境保全の側面的な支援に役立つと考える。さらに画像解析の結果、急速な植生回復が認められるニューオリンズ近郊では、先駆樹種である外来種であるナンキンハゼ (Sapium sebiferum L.)とセンダン (Melia azedarach L.)のハリケーン来襲後における広範な分布域拡大を確認した。さらに、ミシシッピ河流域の主要な湿地林構成樹種であるヌマスギ(Taxodium distichum)と、外来種のナンキンハゼおよびセンダンの苗木を用いて、塩水中への水没処理実験を行い、3樹種の生理・成長反応について比較検討した。その結果、ヌマスギとセンダンは、塩水沈水から淡水による土壌冠水に移行した際に全個体が枯死した。一方ナンキンハゼは、新葉の展開や不定根形成という形態的な回復が確認され、冠水及び塩水に対する耐性が、他の樹種より高いことが分かった。またナンキンハゼでは、適合溶質であるベタイン類の塩水ストレスによる増加を確認した。
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Research Products
(5 results)