2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国西部地域農村近代化に関する調査研究-土地・労働力・産業化・インフラを中心に-
Project/Area Number |
21405028
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
座間 紘一 桜美林大学, 経済・経営学系, 教授 (30034870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 権 桜美林大学, 経済・経営学系, 教授 (40296405)
小松 出 桜美林大学, 経済・経営学系, 教授 (10162041)
任 雲 桜美林大学, 経済・経営学系, 准教授 (00337891)
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Keywords | 中国経済 / 農村経済 / 農村近代化 / 土地問題 / 地域産業 / 農村労働力 / 農村財政 / インテグレーション |
Research Abstract |
今年度四川、湖北、甘粛、浙江で農村調査を行い、以下の知見が得られた。 (1)農村基層財政:分税制や税費改革により財源が削減され、他方で農村のインフラ整備、教育、医療、福祉政策充実要請により歳出が増加した。それに対応して上級からの交付金・補助金の増加と、「郷財県管」や「省直管県」の財政制度の近代化、スリム化政策が採られている。(2)農村土地問題:都市化・工業化による土地需要の増大、農村からの出稼ぎや非農業就業の拡大による農業労働力の老齢化・女性化の進展の中で、土地の用途別管理と所有制度、使用制度、用途転換と土地利用権の移転の制度的特殊性により、地方政府は開発財源として土地利用権譲渡を利用し、他方土地を収用される農民が十分な補償を受けられない制度的枠組みがある。(3)農村金融:中国の中部、西南部、西北部の三つの県で、地域の経済発展レベルと農村の金融組織の深化との相関関係を明らかにした。また、中国の農村土地と住宅の特別な所有形態により、農民の大口担保信用ができないため、農業の産業化、近代化が阻害されていることを改めて確認できた。(4)農村産業化:湖北・四川両省の農業関連企業の個別ケースの調査研究を通じて、農業産業化経営組織形態の特徴、農業産業化経営組織形態の発展プロセス、中国に進出している日系企業の進出形態、経営行動、日系企業の経営に対する中国からの評価、経営現地化の状況を明らかにした。(5)貧困削減問題:中国西部地域農村での貧困削減政策の実施状況と問題点について、具体的なケースから多くの知見を得た。特に、貧困層農民の置かれている経済的困窮状況とそれに対する諸施策の実態とその一方での充足度の低さが明らかとなった。農民への小額貸款(マイクロファイナンス)の浸透度・普及度を明らかにしたい。
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