2010 Fiscal Year Annual Research Report
インドシナ地域における環境修復型生産マネジメントシステムの構築
Project/Area Number |
21405032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 愼太郎 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (20026602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北畠 直文 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (30135610)
水野 啓 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10260613)
西前 出 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (80346098)
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Keywords | インドシナ / 地域開発 / 地域資源 / 森林政策 / 少数民族 / 焼畑農業 / 土地利用 |
Research Abstract |
ラオス南部(チャンパサック州)、カンボジア北東部(ラタナキリ州)を対象に、環境修復型生産マネジメントシステム構築の基盤をなす地域の自然・社会環境、生業構造、土地利用、農業技術、自然災害等についての基礎および詳細調査を実施した。 チャンパサック州では、Pathompone郡Thopsok村において全88世帯を対象とした生業および農地・森林利用に関する調査と現地踏査により、国・州の森林政策(1980年代のチーク造林奨励、90年代以降の土地分配と焼畑禁止)の影響下において従来の休閑サイクルを伴った焼畑耕作が消失し、チーク造林の初期に畑作物を混作し、継続的に新たな土地を開拓して造林と畑作を行うようになった結果、チーク林の拡大と休閑地の減少が急速に進行していることが明らかとなった。 ラタナキリ州においては、ラオ民族の居住域であるVuensai郡Pong村において滞在型調査を実施し、世帯構造と生業に関する基礎データ収集、ならびに洪水による生活、生産への影響とその対処法についての聞き取り調査を実施した。また、ザーライ民族の居住域であるOyadav郡Pi村において、陸稲生産のための焼畑を中心とする在来農業の実態把握に向けた基礎情報収集を実施した。さらに、州内の広域的・長期的な森林被覆変化について衛星画像解析による分析を行ない、1989年から2010年の間に州全体の森林面積率が65%から47%に減少したことを明らかにした。 これらの知見は、多様な民族が営む在来の農業、資源利用システムについての研究蓄積が乏しいインドシナ中部地域において、急速に進行するプランテーション・経済開発の影響を考慮しつつ、それぞれの土地適性や民族性を反映した生産・資源管理システムを構築する上で貴重な知的基盤をなす。
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