2010 Fiscal Year Annual Research Report
わが国とアメリカ大陸のウイルス性人獣共通感染症の流行阻止のための研究
Project/Area Number |
21405035
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
苅和 宏明 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (70224714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
好井 健太朗 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (50421988)
有川 二郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10142704)
森松 組子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (90220722)
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Keywords | 人獣共通感染症 / ハンタウイルス / ウエストナイルウイルス / げっ歯類 / 鳥類 |
Research Abstract |
本研究では、近年国内外で問題となっているウイルス性人獣共通感染症のうち侵入または流行の危険性があり、重篤化しやすく致死率も高いウエストナイル熱とハンタウイルス感染症について研究を行うことを目的としている。本年度はウエストナイルウイルスについては病原性の発現機序を解明し、ハンタウイルス感染症については新規に診断法を開発した。 a)病原性発現機序の解明:ウエストナイルウイルスの鳥類における病原性発現機序についてウエストナイルウイルスを感染させたニワトリのヒナをモデルに病態を解析した。ウエストナイルウイルスのE蛋白上糖鎖付加株と糖鎖欠損株を2日齢のニワトリに接種したところ、糖鎖付加株がヒナに致死的な感染を引き起こしたのに対し、糖鎖欠損株ではほとんど病原性を示さなかった。臓器ごとのウイルス量を測定したところ、糖鎖付加株は血中および心臓、脾臓、腎臓などの臓器において高い力価のウイルスが検出された。したがって、ウエストナイルウイルスのE蛋白上の糖鎖の有無がニワトリのヒナにおける病原性発現に大きな影響を与えることが判明した。 b)診断法の開発:ハンタウイルスには多くのウイルス型が存在し、各種ウイルス間で抗原性に著しい多様性のあることが知られている。また各種のげっ歯類が本ウイルスを保有するため、動物種を問わない多検体用の簡便で高感度な診断法の開発が望まれていた。そこで抗原性の異なる3種類のハンタウイルスの核蛋白質を混合して抗原とし、げっ歯類の血清中の抗体を検出するELISA系を開発した。本ELISAは各種げっ歯類が保有する様々なハンタウイルスに対する抗体を検出できることが判明した。 これによりウエストナイル熱とハンタウイルス感染症の流行阻止のための貴重な情報と手段が得られた。
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