2010 Fiscal Year Annual Research Report
レアメタル汚染の浄化と資源回収システムの開発を目指した新規金属代謝微生物の探索
Project/Area Number |
21405038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 純 京都大学, 化学研究所, 助教 (90511238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 准教授 (70243087)
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Keywords | 環境技術 / 応用微生物 / 生体機能利用 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
1.新規金属代謝微生物の探索 平成21年度に続き、レアメタル汚染の除去や回収への応用が期待されるレアメタルの吸着、吸収、蓄積、代謝能に秀でた金属代謝微生物を選抜することを目的とし、オーストリアチロル地方の氷河域を調査し、永久凍土の土壌を採取した。従来の微生物による金属酸化還元能の評価の多くは、常温域を好む微生物群であることから、地球環境の70%以上を占める低温環境において応用可能な低温適応性の有用微生物の探索を試みた。採取した土壌から金属代謝能や4℃での生育能に優れた菌株を獲得するために、電子伝達体としてクエン酸鉄、酸化マンガン、硫酸亜鉛、クロム酸塩を含む寒天培地を調製し、土壌懸濁液を塗布した後に、嫌気条件下で40℃、18℃で培養することで、耐冷性・好冷性の金属代謝微生物の単離を試みた。得られたコロニーを単離し、同様に金属を含む液体培地に植菌することで集積培養を行った。得られた菌株は、MALDI-TOF/MSを用いたリボソームタンパク質の生産パターン解析による系統分類を行った結果、Geobacter属やPseudomonas属、Bacillus属に近縁の菌株であることがわかった。 2.Shewanella属細菌の金属代謝機構の解析 Shewanella属細菌は、cytochrome遺伝子を多数有しており、多様な金属を電子受容体として利用可能であることが知られている。南極海水より単離されたS.livingstonensis Ac10を用い、本菌の全ゲノム配列に基づく、金属代謝機構の解明を試みた。本菌をフマル酸、もしくは酸化鉄を最終電子受容体として培養し、可溶性タンパク質と不溶性の膜画分を調製し、2次元電気泳動に供することでタンパク質生産パターンを解析した結果、本菌の外膜画分において、鉄存在下で顕著に生産量が増加するタンパク質を7種同定することができた。
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