2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおけるヒト胆道がんの発生・進展に関する遺伝子がん生物学的・分子疫学的研究
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21406011
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
三輪 正直 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (20012750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正田 純一 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90241827)
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Keywords | 胆道がん / 寄生虫感染 / 肝吸虫 / タイ王国 / 遺伝子多型 / 炎症 |
Research Abstract |
1,タイにおける胆道がんは、肝吸虫の感染がリスクに大きく効いていることを我々は何度も確認してきた。肝吸虫の感染が起きれば胆管では長期にわたった炎症が起きており、これが細胞の新陳代謝を引き起こすことにより発がんに至る可能性がある。そこで、遺伝的な要因として炎症関連の遺伝子多型と胆道がんの発がんリスクとの関連を調べた。 今回は、IL-10という炎症に関連する遺伝子多型を解析した。IL-10の-819番目のTがCに代わっている多型について調べた。2つのアレルの-819番目がともにT/Tを基準として、T/C,C/C,または(T/C)+(C/C)のOdds 比と95%信頼区間を求めたところ、それぞれ0.92(0.47-1.78),1.24(0.49-3.14),および1.0(0.56-1.78)となり、いずれにおいても有意な差は見られなかった。 2,タイの胆道がんのモデル動物としてハムスターが知られている。我々は以前にハムスターのモデルを用いて、ハムスターの胆道がんで高発現しているPRKAR1Aという遺伝子を同定してきた。今回は、それがタイのグループとの共同研究により、ヒトの胆道がんにおいても高発現していることを示すことができ、胆道がんの分子治療の新しい候補となりうることを明らかにした。この成果は論文発表を行うことができた(Int J Cancer: 129,34-44, 2011)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝的多型と胆道がんのリスクとの関連については、炎症関連の遺伝子としてIL-10について調べた。しかし、さらに炎症関連の他の遺伝子についても引き続き明らかにしていく予定である。また、胆道がんの動物モデルを用いて明らかにされてきた胆道がんで高発現する遺伝子の一つのPRKAR1Aについてはタイとの共同研究によりヒトの胆道がんでも高発現がみられ、ヒト胆道がんの治療の標的となる可能性が示された。一方、インドの胆のうがんに関してはサンプルの入手が遅れており分析ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝的多型と胆道がんのリスクに関しては、炎症関運遺伝子としてNF-kBなどの遺伝子についても調べていく予定である。 また、ハムスター胆道がんモデルにて高発現がみられた遺伝子についての役割をタイの研究者との共同で調べていく予定である。
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