2009 Fiscal Year Annual Research Report
アジア地域での多剤および超多剤耐性結核菌の浸淫度調査
Project/Area Number |
21406020
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 定彦 Hokkaido University, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (90206540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 千絵 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 博士研究員 (60435964)
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Keywords | 結核菌群菌 / 多剤耐性 / 超多剤耐性 / 遺伝子変異 / 浸淫度調査 / データベース |
Research Abstract |
アジア地域における多剤耐性および超多剤耐性結核菌の浸淫状況を調査し、これらの制圧のための基礎データを蓄積することを目的とした。本研究により得られる成果は、多剤耐性結核蔓延対策に貢献するものと考えられる。本研究では、アジアの国々のうち、特に薬剤耐性結核の浸淫状況調査が不十分と考えられるバングラデシュ、ミャンマーおよびネパールに焦点を絞り調査を遂行した。これらの国々において臨床分離結核菌を収集し、従来法である培養をベースとした薬剤感受性試験により薬剤耐性結核菌の蔓延状況把握を開始した。さらに薬剤耐性と遺伝子変異の関係を明らかにし、操作が煩雑で結果を得るまでに長時間を要する培養試験に代えて簡便な遺伝子解析による大規模サーベイランスを可能するための基礎データ所得を開始した。具体的内容は以下である。 ・調査対象国における薬剤耐性結核の侵淫度情報、疫学情報および薬剤耐性試験実施状況調査を開始した。 ・調査対象国の研究協力者とともに作成した標準手順に従ったバイオリソース収集を依頼し、バングラデシュおよびネパールにおいて、それぞれ220および109の結核菌株、結核菌DNAを収集した。ミャンマーにおいては結核菌株、結核菌DNAの収集を開始した。 ・上記において結核菌群菌の分類には申請者らが開発した低コスト・簡便・迅速抗酸菌鑑別法を用いた。また、結核菌群菌の人型結核菌、牛型結核菌、アフリカ結核菌への分類には申請者らが開発したマルチプレックスPCR法を用いた。また、学術調査対象国の研究者が独自に自国で精度の良いデータを取得できる様に指導した。 ・薬剤含有培地上に生育した菌株からDNA乃至は遺伝子増幅産物を抽出し、日本に輸入し、薬剤耐性に関与することが報告されている遺伝子の塩基配列を決定し、塩基置換を特定した。これまでにバングラデシュ由来の220株の塩基配列を決定した。 ・上記で得られた情報を、申請者らが開発した特定の遺伝子変異を検出することによる迅速な薬剤感受性試験法に反映させて、対象国の耐性結核菌の遺伝子変異の状況に対応した、安価で精度の高いものへの改良のためのデータを蓄積した。 ・学術調査対象国から輸入したDNAを対象にして、日本において遺伝子型データを取得した。申請者らが開発した多施設間比較が容易な分子疫学的解析法を低価格、簡便かつ信頼性の高いものへと改良中である。
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