2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジア地域での多剤および超多剤耐性結核菌の浸淫度調査
Project/Area Number |
21406020
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 定彦 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (90206540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 千絵 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 特任助教 (60435964)
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Keywords | 結核 / 多剤耐性 / 超多剤耐性 / リファンピシン / イソニアジド / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
本研究では、アジア地域における多剤耐性および超多剤耐性結核菌の浸淫状況を調査し、これらの制圧のための基礎データを蓄積することを目的とした。対象国としては、アジアの国々のうち、特に薬剤耐性結核の浸淫状況調査が不十分と考えられるに焦点を絞り調査を遂行した。 これらの国々において臨床分離結核菌を収集し、従来法である培養をベースとした薬剤感受性試験により薬剤耐性結核菌の蔓延状況を把握した。さらに薬剤耐性と遺伝子変異の関係を明らかにし、操作が煩雑で結果を得るまでに長時間を要する培養試験に代えて簡便な遺伝子解析による大規模サーベイランスを実施するための端緒とした。 以下に本年度の具体的実施内容を示す。 1)ネパールにおいて多剤耐性結核菌株109株ならびに多剤耐性結核菌株49株を収集するとともに、これらの菌株からDNAを抽出し、バイオリソースとした。更に、全ての菌株についてリファンピシンならびにイソニアジド耐性関連遺伝子の塩基配列を決定した結果、薬剤耐性と遺伝子変異の間に97.2%ならびに93.8%という高い相関性を見出した。これらの結果を基にしてネパール用薬剤感受性試験様DNAアレイをデザイした。 2)バングラデシュおいて多剤耐性結核菌株218株を収集するとともに、これらの菌株からDNAを抽出し、バイオリソースとした。更に、全ての菌株についてリファンピシンならびにイソニアジド耐性関連遺伝子の塩基配列を決定した結果、それぞれの抗結核剤に対する耐性と遺伝子変異の間に95.0%ならびに94.5%という高い相関性を見出した。これらの結果を基にしてバングラでシュ用薬剤感受性試験様DNAアレイをデザイした。 3)ミャンマーにおいて多剤耐性結核菌株178株を収集するとともに、これらの菌株からDNAを抽出し、バイオリソースとした。更に、全ての菌株についてリファンピシンならびにイソニアジド耐性関連遺伝子の塩基配列を決定した結果、それぞれの抗結核剤に対する耐性と遺伝子変異の間の相関性は約71.3%ならびに72.5%と比較的低いものであった。今後、ターゲットを広げての遺伝子解析ならびに薬剤感受性試験の制度管理の必要性が示唆された。
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Research Products
(8 results)