2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
静谷 啓樹 東北大学, 教育情報基盤センター, 教授 (50196383)
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Keywords | 暗号か関数 / 量子計算機 / 素因数分解問題 / 離散対数問題 / NPMV完全 / NP完全 |
Research Abstract |
本研究は、既存の問題を組み合わせることで量子計算機の影響の及びそうもない領域に難しさを持ち上げる「リフティング」と呼ばれるテクニックを主軸とし、量子計算機に対して安全な暗号系を検討するものである。平成22年度は(1)リフティングにより構成された暗号化関数を破る難しさを計算量のクラスの言葉で特徴づけることと、(2)リフィティング技術の一般化に向けた検討を行うことを目指していた。 (1)については、リフティングの結果として定義域がクラスco-NPに属することとなった関数fの複雑さに関する新しい特徴づけが得られた(学会発表1番目と3番目)。すなわち、f∈FewPFgならば、fの計算はあるNP∩co-NPの言語に帰着すること、ならびに任意のf∈NPMVgについて、fの計算がNP∩co-NPの言語に帰着するならばNP=co-NPとなることを示した。これらの事実と量子計算機で容易に解かれる範囲と重ね合わせることにより、量子計算機時代における暗号化関数の存在限界に関する一種の輪郭線が得られる。 (2)については、リフティングのペアに明確な帰着関係があっては持ち上げる効果が希薄になることから、互いに帰着しそうもないペアが存在するならば、それをリフティングに使うことを目指して検討を行った(学会発表2番目と4番目)。その結果、「帰着しない関数のペア」が存在することを具体的に指摘した。これは、もし帰着したとすると、起こりえないと信じられている事態を招くという意味で、「帰着しない」という現実を導く手法である。具体的に「帰着しない」と証明したのは、素因数分解問題に関連する関数と離散対数問題に関連する関数であり、この両問題に関してこのような形で分離に成功したのは、世界で2例目である。
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Research Products
(4 results)