2009 Fiscal Year Annual Research Report
将来の計算機構としての可逆コンピューティングとその体系化
Project/Area Number |
21500015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森田 憲一 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 教授 (00093469)
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Keywords | 可逆計算機構 / 可逆セルオートマトン / 可逆論理素子 / 可逆論理回路 / 可逆チューリング機械 |
Research Abstract |
可逆コンピューティングは物理的可逆性を反映した計算の枠組みであり、将来、原子・分子レベルの物理現象を直接的に用いて高集積度のコンピュータを作ろうとしたときに重要になる。本年度は、可逆コンピュータがどれほど単純な可逆的素過程から構成できるのかという問題を、特に可逆論理素子と可逆セルオートマトンを対象として研究した。またこれらをもとに理論の体系化を試みた。 1. 2状態可逆論理素子の万能性 記憶を持つ可逆論理素子のうちで3入出力2状態可逆論理素子について研究した。この種の素子で縮退していない14種類が全て非同期モードおよび同期モードで計算万能性を有することを証明した。これをもとに、2状態で3以上の記号をもつ「あらゆる」非縮退可逆論理素子の万能性を導くことができる。 2. 可逆チューリング機械をシミュレートできる可逆セルオートマトンの単純化 m状態n記号の可逆チューリング機械を直接的にシミュレートする(m+n+1)(m+2n+1)状態の2近傍可逆セルオートマトンが構成できることを証明し、近傍数、状態数ともに過去の結果を改善した。 3. 可逆コンピューティングの理論の体系化 可逆コンピューティングにおいて互いに密接に関係している、可逆論理素子、可逆チューリング機械、可逆セルオートマトンを中心に理論を体系化し、その成果を"Encyclopedia of Complexity and Systems Science"(Springer)に2編のサーベイ論文としてまとめ、また、国際会議でも発表した。
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