Research Abstract |
本研究では,従来から研究が行われていたネットワークにおける最適化問題の新しい枠組みにおける理論の整備とその実際の地理情報処理(GIS)におけるデータでの理論の検証,従来の最適化問題をGISデータに適用する際に現れる新しい問題の定式化とその解法に関する研究を行うことを目的としている.今年度は,実データを用いた最適化問題の解法の開発において,小学校の集団下校経路に関する研究を行った.階層型施設配置問題を適用して,生徒の自宅の位置から集団下校の班分けを決定し,下校経路を求めるという問題を定式化し,実データをもとに計算機実験を行った結果を論文の形にまとめ,公表した.また,地図データの効率的な可視化に関して,引出し線を用いたラベル配置問題において,新しい解法やモデルを提案し,実験によってその有効性の検証を行った.また,略地図生成に関する研究も行い,今後はその成果を利用し,得られた略地図にラベル配置を行って,実用的な略地図生成手法の提案に向けて研究を続ける方針である.最小極大流に関する研究としては,この問題への手掛かりとして取り組んでいる最小極大マッチングに関する理論的研究を進め,2つの近似アルゴリズムの提案と,最適化問題として定式化した際に現れる辺一辺隣接行列の性質と,元のグラフの構造との関係を調べ,それらの特徴づけに関する研究を行った.得られた成果は国際会議で発表し,その一部は論文として,成果をまとめた.未発表の部分については,今後,研究会や国際会議などで発表を行う予定になっている.
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