2011 Fiscal Year Annual Research Report
型つきラムダ計算とDatalogに基づく構文解析・文生成の研究
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21500025
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
金沢 誠 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (20261886)
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Keywords | 構文解析 / 文生成 / Datalog / ラムダ項 / 型つきラムダ計算 |
Research Abstract |
文脈自由文法と同様の導出木の概念を持ち、型つきラムダ項で表される規則に従ってラムダ項の集合を生成する文法形式を文脈自由ラムダ項文法と呼ぶ。文脈自由ラムダ項文法によって、よく知られているさまざまな文法形式や、意味表現としてラムダ項を用いるモンタギュー意味論を統一の枠組みで表現することができ、これらの文法形式に対する構文解析や文生成の問題は、文脈自由ラムダ項文法に対する構文解析の問題として表現できる。研究代表者のこれまでの研究で、「ほとんど線形な」ラムダ項に制限された文脈自由ラムダ項文法に対する構文解析の問題がデータベース問い合わせ言語Datalogの問い合わせに帰着できることがわかっていた。 構文解析において入力として文字列集合を考えるのと同様に、文生成においても、入力として木やラムダ項の集合を扱うことは、量化子の作用域が特定されていない意味表現を想定する場合などに有用であるから、ほとんど線形な文脈自由ラムダ項文法の構文解析においても、ラムダ項の集合を入力とした構文解析の問題を考えることは重要である。昨年度の研究で、入力として与えられるラムダ項の集合がある意味で「決定的」なデータベースで表現できるとき、Datalogへの帰着が可能であることを示したが、今年度は、この結果の有用性を具体的な例に当てはめて検討するとともに、「決定性」という条件の持つ形式的性質について調べた。量化子の作用域の曖昧性が扱えるような文法を文脈自由ラムダ文法で表現した場合に1つの文の持つすべての読みが決定的なデータベースで表現できることを具体的な文法を使って確かめた。Datalogへの帰着を用いると、ある文と少なくとも1つの読みを共有する文すべてを求めることができる。また、任意のデータベースが決定的であるかどうかを判定するアルゴリズムが存在することを示した。
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Research Products
(2 results)