Research Abstract |
今年度の主な実施項目「モデルの深化」「ルーティングアルゴリズムの体系化」「非定常性能」について,これらの組み合わせによる様々な角度からのシミュレーション実験を行った.これらの実験により得られた多くの評価結果を検討・解析することにより,多くの新しい知見を得られた. [モデルの深化]ランダム通信に加え,転置,完全シャッフル,ビット反転,ビット転回,ビット逆順,全体全,トルネードの通信パターン(計8種)を設定し,前年度の成果による定量的評価手法に基づいた評価を進めた. [ルーティングアルゴリズムの体系化]決定的,非決定的ルーティングの各々に典型的な方式(次元順,およびDuatoプロトコル)に限り,アルゴリズムの決定性の差による特性(定量的評価手法に基づく指標)の差を評価した. [非定常性能]上述の転送パターン8種について,一斉同期通信を行った際の通信所要時間を評価した. 以上の評価項目の組合せに対して,対象相互結合網の規模をさまざまに変えながら,膨大な量のシミュレーション実験を行った.その結果,さまざまな通信パターンでの基本的な特性(定常性能)や,非定常特性(一斉同期通信)における通信挙動について新しい知見が得られた.また,定常性能,非定常性能を整理したうえで,相互結合網の規模と定量的評価手法に基づく指標との関係を明らかにすることができた.さらに,相互結合網の規模・通信パターン・ルーティングアルゴリズムの3者を統合した性能モデルについて検討を進めた.また,相互結合網での通信に直接関連するプロセッサに関する研究も併せて実施した.これらの結果は既往の研究にないものであり,8編の雑誌論文(うち4編は査読付き)にまとめたほか,10件の学会発表を行った.
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