2011 Fiscal Year Annual Research Report
ループパスの実行時挙動に基づいた並列化を行う動的最適化システムの研究
Project/Area Number |
21500050
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
馬場 敬信 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (70092616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 隆史 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (90334078)
大津 金光 宇都宮大学, 工学研究科, 准教授 (00292574)
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Keywords | 計算機システム / 超高速情報処理 / ハイパフォーマンス・コンピューティング |
Research Abstract |
本研究の基本とする実行モデルは、頻繁に実行されるループ(ホットループ)内の実行経路(ループパス)がごく少数のパスに限定されることに着目して、最頻2本のパスを対象に、パス予測に基づく投機実行を行うものである。この基本的な実行モデルの実現のため、あるプログラムに対して実行プロファイルをすべて取得した後に、その最頻2パスを選んで投機実行の対象とするための投機的コードの生成と生成したコードを実行するアーキテクチャ技術の確立を行ってきた。しかし、種々の実験を重ねた結果、実行時に最頻パスが変動するループがあることが判明し、基本方式では、この変動に追随できず十分な性能が得られないことが判明した。これに対して、本研究では、実行時に変化する最頻パスに追随して投機の対象とする2本のパスを変化させることについて検討し、特に本年度は、この新しい方式による性能向上の可能性について実行トレース結果を用いた「見積もり実験」によって明らかにした。 実験の結果は、(1)SPECINT2000ベンチマークプログラムにおける全2786ループ中、1ないし2パスのみを実行するものが83.5%であり,残り16.5%中、ループへの突入ごとに最頻2パスが変動するものが、15.0%であること、(2)動的最適化の導入により、性能が最大1.8倍向上する可能性があること、などに要約される。 本実験はあくまでも見積もりであり、実際のシミュレータ上で実行モデルを実現して得た結果ではないことから、今後このシミュレータを完成して、シミュレータ上での実測値を求めることが重要な課題である。
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