2011 Fiscal Year Annual Research Report
将来予測に基づくスーパーコンピュータの運用効率化ツールセット構築のための研究
Project/Area Number |
21500064
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
伊藤 利佳 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発本部, 主任開発員 (70442928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 浩 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (10243057)
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Keywords | HPC / 資源管理 / 省電力 / ジョブスケジューラ / 最適化 |
Research Abstract |
本研究は、スーパーコンピュータのハードウェア資源の利用効率を上げながら、同時にコストを削減することを目的とした研究である。そのための方策の一つとして、ジョブスケジューラのパラメータの最適化やスケジューリングに関わる研究を行い、一層の利用効率の向上を目指す。 ジョブスケジューリングの最適化を考える上では、個々のジョブの実行時間がわかっていることが望ましいが、現実にはそのようなことはありえない。そのため、23年度はジョブの実行時間予測に焦点をあてて研究をおこなった。また、ジョブのスケジューリングは、ユーザの要求経過時間を元に実施されるため、ユーザの要求経過時間と実経過時間に関する検証も重要である。そこで、要求経過時間と実経過時間の傾向をカテゴリー別に分類し、ユーザのジョブ投入に対する行動の傾向を明らかにした。この分析により、通常数値化しづらいユーザ行動の傾向が明らかになるとともに、実行時間予測を行う上でも有益な分析となった。これらの分析を用いて、実行時間予測を行い、予測をもとにる数値実験をおこなった結果、本研究における実験では、実行時間予測を行わずにジョブを実行させる場合と比較し、約3%のシステム利用効率の向上が見られることが明らかになった。 また、省電力のための取り組みとして、京都大学で平成24年5月から稼動予定のスーパーコンピュータを対象とした、システムの省電力運転のための電源およびジョブスケジューリングの方式を設計した。同システムではユーザグループごとに一定資源量の随時利用を保障するSLAが定められているが、現行システムの稼働状況を解析した結果、電源オン状態の計算資源の稼働率を85%に保ちつつ、短時間に限ってSLAを満たさないスケジューリングを許容することで、消費電力の削減とQOSの維持を両立する方式が得られた。
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