2012 Fiscal Year Annual Research Report
情報ネットワークや分散システムにおけるゲーム理論的追究
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21500068
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
亀田 壽夫 筑波大学, 名誉教授 (10011660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 頡 筑波大学, システム情報系, 教授 (50251046)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 情報通信工学 / 計算機システム / ゲーム理論 / 独立分散管理 / ネットワーク |
Research Abstract |
近年、情報処理システムやネットワークは、ますます多くの独立したユーザが共用するようになってきた。即ち、ネットワークやシステムに、独立したエージェントが多数存在する。各ユーザがシステム内に共存し、(ゲーム理論における各プレーヤのように)資源を競い合う状況は、ゲーム理論的な観点から論じることができる。各ユーザが、独立に自己に関わるパケット/計算のみの処理コスト/応答時間を追究する状況を独立分散管理ということにする。独立分散管理はある種の公平さをもたらすが、全ユーザに性能劣化をもたらすことがあり得る。全ユーザに性能劣化をもたらさず独立分散管理による公平さを反映した資源割り当て法を、ゲーム理論に基づき追究するのが本研究の主な目的である。 平成24年度では、前年度に追究を深めた、独立分散管理による、各ユーザ間の公平さを実現しながら、効率の良い、新しい管理方式の一般的追究をさらに深めた。そのような方式の実現可能性について、一般的な検討をした。さらに、この方式を各種の具体的なシステムにおいてどのように現実的に実現されるべきかを検討した。実際のシステムやInternet 等の情報ネットワークや、GRID コンピューティング等の分散システムや、無線ネットワーク等の中で最近の事情に基づき、上述の管理方式が具体的にどのように実現されるかの追究を始めた。 また、基礎的な研究に裏打ちされた準備的な検討をさらに進めた。それを反映しながら、上述のネットワ-クやシステム等において、以前から問題とされている、独立分散管理による性能劣化が、いかなる状況で起こる可能性があるかを、より詳細に究めた。このために、ゲームの理論等の検討を背景にしながら、異常な振る舞いや非効率なシステム状態をさらに具体的に追究した。また、分散システムにおけるパラドックスの大きさの、対称性の影響について、検討を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
(理由)準備的な研究はある程度進んできた。全ユーザに性能劣化をもたらさず独立分散管理による公平さを反映した資源割り当て法についても、ある種の定式化は得られた。しかし、それを現実化する段階になって、多くのシステムにわたる一般的な取り組み方は困難で、実際化できる具体的な枠組みを求めるのに、具体的な様々な状況を求める必要があり、その段階において、様々な困難に遭遇している。既に得られた定式化を見直し、新たな定式化を求める方向も追究する必要性もあり得る。
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Strategy for Future Research Activity |
準備的な研究は、いろいろと成果を得てきており、その方向も並行してさらに追究するのは、有益であると考えられる。 全ユーザに性能劣化をもたらさず独立分散管理による公平さを反映した資源割り当て法のある種の定式化を実際化できる具体的な枠組みを求めるのに、具体的な様々な状況を求める際の様々な困難を克服すべくさらに努力するとともに、既に得られた定式化を見直し、新たな定式化を求める方向も追究する。 数理経済学において、完全競争がPareto最適である場合が示されている。今後はそれらも参考にして、競争的公平さがあるとともに、Pareto 最適である方式を追究する。
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