2010 Fiscal Year Annual Research Report
地理的空間上の人口分布に応じた自律分散ネットワークの構築法
Project/Area Number |
21500072
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
林 幸雄 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 准教授 (70293397)
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Keywords | 人口分布 / 地理的空間 / 自己組織化 / 最大負荷 / ショートカット / フラクタル次元 / 自己相似 |
Research Abstract |
近未来の広域通信で予想される利用環境の変化に適応的なネットワークの構築法として、人口密度に比例した現実的なアクセス要求に従った基地局ノードの配置、自律分散処理に基づく効率的なルーティング、悪意な攻撃等に対しても結合耐性を強化できる障害回避戦略、渋滞発生メカニズムの解明とその解消策を探り、具体的アルゴリズムを開発することは重要課題である。昨年度までに、提案モデルの基本特性として、人口密度に応じたノード配置、故障や攻撃に対して最適に近い強い結合耐性、直線の高々2倍で抑えられる短い経路長(t-spanner性)などの優れた性質を明らかにした。今年度はさらに検討を進めて、主に以下の成果を得た。 ・統計データに基づく人口密度に比例して、正三角形や正方形の自己相似な分割を繰り返して成長するネットワークが効率的かつ頑健であることを、他の代表的な優先的選択や幾何学的なネットワークと比較しながら、リンク長の平均値や分布、ノードやリンクにかかる最大負荷のスケーリング則(ネット規模に対する渋滞の深刻度)等から定量的に示した。また、その自己相似な階層性を持つネットワーク生成をマルコフ連鎖として捉えて、フラクタル次元の効率的な近似計算法を提案した(国際学術論文2件)。 ・上記のネットワークにおいて、経路の平均ホップ数を最小にする最適なショートカットの追加法を、フラクタル次元と関連付けて検討し始めた(国際会議と国内研究会で各1件ずつ)。 ・また啓蒙活動として、地理的空間上のネットワーク自己組織化に関する研究動向を含めたサーベイを国内研究会3件(うち招待講演2件)で報告した。 独自開発している複雑ネットワークに適したJava分析ツールにおいては、新たに加えた統合化モジュールの記述や効率的なプログラミング技法の説明を充実させ、Wikiにて整備した。
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