Research Abstract |
実世界情報プローブとは,無線携帯端末を身に着けた人間をも,細粒度の移動体プローブ(触覚)とみなし,携帯端末が備える各種センサにより取得される実世界情報をそのロケーション情報とともにリアルタイムに収集,加工し,高次実世界コンテクストの抽出に適用する手法である.プローブとなるユーザは,これらの情報を提供することへの対価として,様々なユビキタス情報サービスを享受することができるが,プローブ情報にはユーザのロケーションを始め様々な個人情報が含まれており,その収集にあたってはプライバシ保護の仕組みを慎重に検討する必要がある.本研究の目的は,サービスに公開した個人情報が悪用された場合にユーザが被る被害を抑えることにある.研究計画最終年度となる平成23年度は,前年度での議論を踏まえ,問題を一般化するとともに,対象エリアを屋外公共空間へ拡張し,提案手法の精緻化ならびに評価を行った.具体的には,対象となるユーザ集合,エリア集合ともに特定が困難となるリスニングサービスをも支援対象として含むよう,位置匿名化アルゴリズムの一般化をさらに進めるとともに,実装に向けた詳細化の見直しを行い,アルゴリズムの定性的な評価を行った.また,本研究課題で設定した目標の達成を検証するための統合評価環境として,屋内,屋外両プラットフォームならびに各種テストベッドで統一的に利用可能なベンチマークフレームワークを設計,実装した.同実験プラットフォーム上に上記ベンチマークフレームワークを構築し,より複雑な条件下での実証実験を通して,他手法との性能面での比較評価を行い,提案アーキテクチャの有用性を実証的に検証した.
|