Research Abstract |
ホログラフィは3次元波面を忠実に記録・再生できる技術であり,電子ホログラフィは究極の立体テレビになり得るものと考えられている.しかし,膨大な情報量を処理しなければならず,実用化が困難な状況にある.一方,コンピュータのプロセッサは,近年,並列化が進んでいる.電子ホログラフィのアルゴリズムは並列処理に向いており,マルチコア・プロセッサが実用化に向けて有効かどうかを検証することが本研究課題の目的である.一般に市販されているマルチコア・プロセッサの中では,GPUとCellが著名であったが,近年の動向では,GPUの発展が顕著になってきている.GPUは本来,グラフィックス専用のプロセッサであったが,その域を超えて,一般の数値計算を加速する目的の製品も市場に出回るようになってきている.本年度は,最新のGPUを用いて電子ホログラフィにおける計算高速化の検証を中心に行い,良好な結果を得た.また,国立天文台が開発したGRAPE-DRチップは,当初,天文学の数値シミュレーション専用に使用されていたが,最近では一般用途向けボードとして使用できるようになってきている.GRAPE-DRチップは計算コアを512ユニット内蔵しており,最新のGPUと同等の並列数となっており,一般の数値計算用マルチコア・プロセッサとしても高い性能が期待できる.そこで,電子ホログラフィにおけるGRAPE-DRチップの有効性も検証し,良好な結果を得た.
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