Research Abstract |
現在,工業製品のデザイン工程では,モデリングの早い段階で高精度なモデルが求められ,VR上でのデザイン検討が行われている.しかし,CADシステム上での曲線制御の限界から,それを用いて創成する面の性質を制御することが非常に困難である. そこで,本研究では,まず曲面の曲率線の分析結果から曲面の持つリズムを表す性質パラメータを曲率対数分布図,捩率対数分布図の概念を基に定義し,その性質パラメータを用いて「対数美的曲面」を定義することを目的とする.さらに,対数美的曲面の創成システムを開発し,創成した曲面の妥当性の検証およびVR上での曲面の制御方法についての分析,考察を行った.その結果,対数美的曲面を曲面の性質を制御しながら創成することができることを確かめた.また,開発した創成システムのインタフェースの操作性について,問題点を抽出し,操作性の改善を行った.加えて,創成した曲線の応用として,形成外科手術における耳介形状に着目し,様々な被験者におけるその曲線の分析と分類を行い.その結果を用いて手術用耳介テンプレートの製作を行った.具体的には.まず被験者50名の耳介形状を撮影し.画像処理によりその輪郭曲線と対耳輪下脚部曲線を抽出した.次に.曲率プロファイルによりそれらの曲線の性質を分析し,耳介輪郭曲線3タイプ,対耳輪下脚部曲線2タイプに分類を行った.その結果から.90種類(3タイプ×2タイプ×15サイズ)の手術用耳介テンプレートを製作し,形成外科医の協力の元,実施に手術への適用を行い,その有効性を確認した.
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