2011 Fiscal Year Annual Research Report
拡張フラクショナルビュー方式立体表示画像のネット配信
Project/Area Number |
21500111
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷中 一寿 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (30298278)
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Keywords | インテグラルフォトグラフィ / 拡張フラクショナルビュー / EFV / 立体表示 / 3Dディスプレイ / モアレ / 傾斜 / フレネルミラー |
Research Abstract |
本研究は、特別なメガネをかけることなく水平・垂直方向に視差を生じる立体画像表示方式であるインテグラルフォトグラフィの一種で、既製のフライアイレンズとフラットパネルディスプレイ(FPD)を自由に組み合わせられるように我々が改良した「拡張フラクショナルビュー方式(EFV方式)」の立体画像のネット配信を行うことを目標としている。平成23年度は最終年度であるので、モアレの改善と、ネット配信用の撮像系の検討を、主たる研究目標に設定した。モアレは、本来表示すべき立体像以外に、目障りな色のついた縞模様が現れるものであり、その原因は、液晶ディスプレイ(LCD)のRGBのサブピクセルと、その上に重ねられたフライアイレンズの微小な凸レンズとが干渉することによる。縞の太さは、LCDの画素ピッチとLCDの凸レンズピッチとの比率に依存し、その値によっては、縞が細かくなって目立たない場合がある。しかしEFV方式では、既製のLCDと既製のフライアイレンズを自由に組合せられることが特徴であるため、その比率を選べないことが前提になっている。そこで新たな解決策として、フライアイレンズをLCDに対して傾斜させることにより、フライアイレンズとLCDの画素との干渉によって生じるモアレを低減する方法を提案し、シミュレーションと実験により有効性を示した。この成果はコンピュータ用ディスプレイの専門学会であるSID2011で発表した。次に、ネット配信に関しては、スタジオの外でも容易に3Dの撮影が可能なよう、3D撮影用カメラの小型軽量化を行った。従来は金属製フレームの一端にカメラを、別な端に撮影用フライアイレンズを取り付けていたので、大型で重いだけでなく、フレームの振動により画像が揺れる問題があった。そこでフライアイレンズを筒の一端に組み込み、その筒をカメラのレンズの先端に取り付けることで、フレームを省いた。さらに、フレネルレンズの片面に金属を真空蒸着してミラーを形成した「フレネルミラー」を用いて、インテグラルフォトグラフィ画像を、横方向だけでなく縦方向の視差を伴いつつ、あたかも空中に浮いているかのように表示する新しい立体表示方式を提案し、実験により立体視が可能であることを示し、ICIPT2011とIEEE VR 2012で発表した。
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